Dialogue

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For Christmas2017 佐藤裕美×弦巻理江×星野貴代

 
 For Christmas2017、昨年に引き続きの第2回展です。
 出品作家は3名です。漆蒔絵の佐藤裕美さんは昨年に引き続き、ブローチ、お椀、箸など漆蒔絵によ る小物を中心に展示します。版画家の弦巻理江さんは、本人がれんこん画と呼ぶドローイング作品16 点を展示します。れんこん(穴があいていて見通しのよい縁起のいい食材)のスタンプを中心に、そこから やや風刺のきいたドローイングに仕上げられています。陶芸家の星野貴代さんにもドローイングの出品 お願いしました。独特な線描で描かれるクリスマスのイメージ。とても魅力的な作品13点に、金彩を 施した陶器も併せて展示します。
 あまりクリスマスぽっくないクリスマス展。当画廊らしい展示かなとも思っています。今年最後の企 画展となります。会期は、12月17日(日)までです。おもしろいものを探しにいらしてください。

お知らせ: 12月18日(月)から24日(日)までは常設展示となります。20日(水)は休廊です。25日(月)からは年末年始休廊に入ります。
( 2017.12. 8 )



コイズミアヤ展と田代倫章陶展

 
 11月より、画廊は18年目に入りました。前半は、コイズミアヤさんの新作展「かさなりとかたまり」 を開催しました。画廊空間を生かしたとても素敵な展示となりました。(写真) 11日(土)には、県立万代 島美術館学芸員の今井有さんを聞き手にお迎えして、1時間程ギャラリートークを開催しました。20数名 の方々にお集まりいただき、熱心に耳を傾けていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。
 後半は、栃木県益子在住の田代倫章陶展の開催。5年程、2階の常設展示で紹介してきた作家で、私 自身もこの個展を楽しみにしてきました。これまでの手ごたえでは、何かものづくりをしている方々に 好まれる傾向がありました。どんな方々に手に取っていただけるか、お客様にすすめながら会期中を過 ごしました。生憎、例年よりも1か月早い寒さの到来。お客様の動きが予想以上に悪く、やや苦戦して しまいましたが、品物を手に取りお買い上げいただいた方々、本当に有難うございました。
( 2017.12. 4 )


コイズミアヤ展会場風景



コイズミアヤ展「かさなりとかたまり」

 
 コイズミアヤさんのこれまでの作品は、箱庭的な外に開かれたものと、箱の内に閉じられたものに 大別出来ます。そこには、信仰や物語を想起させるものから日々の生活に寄り添った心象風景的なも のまで表現されてきました。
 今回発表される「重なる箱」のシリーズは、一つ一つのパーツは至ってシンプルな小さな箱が、複 雑に組み立てられ、外側へ拡大していきます。出来上がった立体は、余計なものを排した建築物の外 観のように見えます。これまでの作品に比べ、抽象的傾向の強い作品ですが、この「重なる箱」シリ ーズには、コイズミさんがこれまで培ってきた生の営みの過程が見えるようです。
 組み立ての過程や仕組みはコイズミさんの頭の中にあります。どこまでも拡大出来る可能性のある 重なる箱。絵画と同様にどこで止めるか、その仕上がりの造形イメージが作品としてはとても大切な 部分でもありますが、内包されるそれぞれの役割を担う小さな箱にも思いを馳せながら楽しめる作品 であって欲しいと願っています。(リーフレット紹介文より)
( 2017.11. 4 )



10数年振りの上越高田

 
 10月21日、土曜日。台風到来の前日、秋晴れの穏やかな日、10数年振りに高田へ行ってきました。 舟見倹二先生宅をお訪ねしました。2004年に、舟見先生のボックスアート展の第1回展を当画廊で 開催していただいてから10数年。数年前から、先生がお元気のうちにもう一度ボックスアート展を 開催出来ないかと考えていました。先生も御年92歳(1925年生まれ)です。頭脳明晰なのには驚かさ れます。来年4月開催ということで、快く引き受けて下さいました。
 ボックスアート作品は130点あまりにのぼるとのこと。資料ファイルを預かってきました。これ から年内いっぱいかけて、この中から40点余りをリストアップし、来年4月に披露出来るよう準備 していきたいと思います。会期は2018年4月14日(土)から28日(土)の予定です。
 舟見先生宅は、高田公園の真前に位置しています。帰りは、久々に高田公園の中を30分程散策を しました。先に見える妙高山がとてもきれいでした。秋の紅葉には少し早かったですが。
( 2017.10.29 )



近藤達雄 展 / ギャラリーコレクション 展

 
 10月6日(金)から近藤達雄展「花、女、夜その5」を開催します。同テーマでの2年に1 度の個展も今回が5回目となります。
 近藤さんの作品の魅力は何と言っても女性像にあります。美しく描くだけの絵ではあり ません。それぞれのモデル自身の内面を見透かすかのように様々なもの、例えば動物や花 、風景などが組み合わされて描かれます。私自身も毎回観ていて、その組み合わせが何を 意味するのか、深く考えさせられるところがあります。描かれたモデルたちもその絵を観 てドッキとするようです。自分の内面をのぞかれた様な気分になるのかもしれません。
 今回は、これまで行ってきた絵画の立体化とは異なるオリジナル立体作品も併せて展示 しています。会期は10月15日(日)までです。
 10月22日(日)からはギャラリーコレクション展を開催します。この1年程の期間でコレク ションした当画廊の取り扱い作家の絵画や立体など20点程を展示します。詳細は次回の展 覧会予告をご覧下さい。こちらの会期は10月30日(月)までです。
( 2017.10. 6 )



所蔵品展「うつくしい暮らし」とコイズミアヤ作品

 
 新潟県立万代島美術館で所蔵品展「うつくしい暮らし」が11月5日(日)まで開催中です。 燕市出身のグラフィックデザイナー故亀倉雄策氏の陶磁器や絵画コレクションを中心に展 示されています。自分の眼で厳選した程々の数の作品に囲まれた心豊かな生活の一端を垣 間見ることが出来ました。時々、画廊を訪れるお客様に「いつも美しいものに囲まれて幸 わせですね」と言われることがあります。本当にその通りです。残り少ない(?)人生、一日 一日を豊かな気持ちで暮らせたらいいなあと、この展示を観て再確認しました。
 この展示に併せて、新収蔵作品も紹介されています。その中に、コイズミアヤさんの「 未知の信仰のための空(から)の器」(1998年)から4点も展示されています。20代半ばの若いエ ネルギーが凝縮された作品です。是非ご覧いただければ幸いです。
 当画廊では、11月4日(土)から18日(土)までの会期で、コイズミアヤさんの新作展「かさな りとかたまり」を開催します。会期中11日(土)午後2時より今井有氏(県立万代島美術館学 芸員)を進行、聞き手役にお迎えし、コイズミアヤさんのギャラリートークを開催します 。只今予約受付中です。ご希望の方は、電話またはメールにて当画廊までお申し込み下さ い。
( 2017. 9.30 )





ヒラタヒロヒコ展

 
 画廊が中央区西堀通5番町にあった頃のことです。一軒隣りの空き店舗を借りて2004年4月から1年 間、楓画廊アネックスという名称で貸し画廊を運営したことがありました。多くの新潟の作家と知り合え た場所でした。ヒラタヒロヒコさんもその中の1人です。個展開催後1年程経った頃だったと思います。 ヒラタさんの提案で、画廊の入口脇に小さなボックスを設け、毎月新作を1点ずつ1年間継続展示する「月 刊ヒラタヒロヒコ」という試みを行い、ちょっとした話題になりました。
 その頃の作品は、フェルトと革を素材に制作した非実用的な道具でした。がそこに添付された使用説明 書とともにその道具(作品)を観ると、もしや使えるのではないかという空想にふけさせてくれる巧みさ がありました。「ナンセンスアート」という分野があるかどうかは定かではありませんが、使う素材が土や 木に変わり、発表される作品が立体的になってきた現在もその方向性は一貫しています。
 今回の個展では、さらに新たな展開を見せてくれるそうです。「海・砂浜」がキーワードです。ヒラタ さんの少年時代の記憶が現在にフィードバックされ、立体、映像や写真といった形で表現されます。
( 2017.9.14 )



特集展示 猫のいる…

 
 ギャラリーコレクションに、小山まさえさんの新作パステル画と押味くみこさんの陶立 体を加え、「特集展示猫のいる…」を開催します。
 実は我が家にも母と娘の親子猫がいます。母親猫はおっとりとした臆病な猫ですが、魚 の匂いには敏感です。どこからともなく魚の匂いを嗅ぎつけて現れます。一方、娘の三毛 猫は敏しょうできれい好き。朝は夜明けとともに私のふとんの上に。夜は、帰りが遅いと 玄関で出迎えてくれるかわいらしい猫です。おやつをもらうことが主目的で、ついでにな でてもらって満足するのですが…。
 今回の展示内容をご紹介します。この展示用に、小山まさえさんにはパステル画5点を 描いてもらいました。それぞれの絵にそれぞれの物語があり、愛らしい猫たちが描かれて います。押味くみこさんには陶立体をお願いしました。高さ13cm程のまねきねこを中心に、 猫の形のはし置きなどの小物を取り揃えました。小さな猫たちがお出迎えしてくれます。 ギャラリーコレクションは、佐藤恵美の銅版画とドローイング、井上厚の木版画などを 展示します。
 新潟はいよいよ梅雨本番。晴れ間を見つけて是非ご来廊下さい。
( 2017.7.7 )



坪井麻衣子展

 
 勤務で新潟へ越してきた人々は、ひと冬越え るとこの地の豊かさを実感し、居心地がよくな る人が多いと聞きます。四季の移ろい、山や川、 海といった自然の豊かさ、そして食に魅了され るようです。また、新潟から外へ出て暮らす人々 も、月日が経つにつれ、その魅力を再発見し、 望郷の念が募るようです。私もかつてそうでし たし、坪井さんもそのひとりのようです。
 その望郷の念を絵筆にのせて、坪井さんの脳 裏にある新潟の原風景が繰り返し描かれます。 海や山など、彼女が描き出す風景はいたって穏 やかで、その季節感は春や夏といったものが多 いのは、坪井さんの若さゆえでしょうか。
 もう1つ坪井さんの絵画の重要なファクター を支えるのが、身近な心象風景を詩的イメージ で描き出すことです。絵画を通して他者とのつ ながりや物語性をいかに紡ぎ出すか試行錯誤の 繰り返しのようです。パステルトーンの色彩が その詩情を効果的に醸し出します。
 遠景と近景を使い分けながら、2つのフィー ルドを行き来する坪井さんの世界。今回はどん な新たな視点を見せてくれるのでしょうか。2 年ぶりの新作展です。
( 2017.8.28 )



特集展示 猫のいる…

 
 ギャラリーコレクションに、小山まさえさんの新作パステル画と押味くみこさんの陶立 体を加え、「特集展示猫のいる…」を開催します。
 実は我が家にも母と娘の親子猫がいます。母親猫はおっとりとした臆病な猫ですが、魚 の匂いには敏感です。どこからともなく魚の匂いを嗅ぎつけて現れます。一方、娘の三毛 猫は敏しょうできれい好き。朝は夜明けとともに私のふとんの上に。夜は、帰りが遅いと 玄関で出迎えてくれるかわいらしい猫です。おやつをもらうことが主目的で、ついでにな でてもらって満足するのですが…。
 今回の展示内容をご紹介します。この展示用に、小山まさえさんにはパステル画5点を 描いてもらいました。それぞれの絵にそれぞれの物語があり、愛らしい猫たちが描かれて います。押味くみこさんには陶立体をお願いしました。高さ13cm程のまねきねこを中心に、 猫の形のはし置きなどの小物を取り揃えました。小さな猫たちがお出迎えしてくれます。 ギャラリーコレクションは、佐藤恵美の銅版画とドローイング、井上厚の木版画などを 展示します。
 新潟はいよいよ梅雨本番。晴れ間を見つけて是非ご来廊下さい。
( 2017.7.7 )



最近の読書は

 
 最近の読書は二本立てです。一つは、画廊通勤時の電車内で読む文庫本。英米文学の古 典を読み直しています。若い時には見えていなかった(読めていなかった)ことがたくさ んあると痛感します。もう一つは、最近思い立って始めたのですが、村上春樹の作品を出 版順に英文で再度読んでみるという試みです。2週間程前に始めたのですが、「風の歌を 聴け」と「1973年のピンボール」は既に読み終えました。話のすじも分かっているし、会 話が多いので、日本語で読むのと同じ位のスピードで読めています。どれ位の期間かかる かわかりませんが、全て辿ってみようと思っています。
( 2017.7.1 )



好宮 佐知子 展

 
 好宮 佐知子さんの絵を観ていると、五感を研ぎ澄ませた日々の生活の大切さを痛感する。
 日々の生活に寄り添った身近な題材を、季節ごとの光とその空気感を通して、好宮さんはフ レスコ画の手法で巧みに描き出す。説明的な絵ではないが、光の射しかげんから、季節それぞ れが持つ雰囲気や風のそよぎが画面の中から聞こえてくるような気がする。旅先を題材にした 絵などは特に、自分が体験したその場の空気感を、眼と耳で捉え肌で感じたものを表現しよう としているのがよく分かる。
 時々、日差しを浴びて散歩をしていると既視感におそわれることがある。どこかで見たこと のある光景だと。光と影が作り出す何気ない風景。それが好宮さんの絵の一部だったりする。 そんな時、好宮さんのことを想い出し、さりげないが心に沁みる絵を今後も描き続けて欲しい と願う。
( 2017.6.16 )



星奈緒展「空想のカーテン」

 
 星 奈緒の人物画がひかりを帯び、その静謐さを増し始めた。
 2年前の個展では、描かれる対象は特定のモデルを介しない自分自身のイメージから産み出さ れたものだった。その後、モデルを使った作画に移行している。その心境を本人に問うと、やや躊 躇しながら、素直な言葉で「限界」を感じたからという返答があった。本当は使いたくなかった 言葉だったのかもしれない。その返答を聞きながら、作家として一歩踏み出したのだと実感した。
 昨年の豊栄地区公民館ギャラリーでの個展発表作で、とても印象に残っている作品がある。 「光のあたる部屋」と題する横置きのパネルに紙の余白を十分に利用した横向きの坐像。これ までは画面いっぱいに正面から捉えた作品が多く、とても新鮮な印象を受けた。やや曖昧だっ た輪郭線もシャープになり、単なる紙の色に過ぎないのだが、その配置と余白の取り方が非常 に効果的にその人物像を浮き出させていた。ここでも星 奈緒の進歩を感じた。
 今回の個展は、一人のモデルを様々な視点から描いた人物画と、植物をモチーフにした静物 画による展観です。進化し続ける星 奈緒の世界を是非ご覧下さい。 (展覧会リーフレット紹介文より)
( 2017.5.13 )



星野貴代 陶展

 
 星野貴代さんは、当画廊の開廊とほぼ時を同じくし陶芸家として作家デビューしました。数年経ってから ですが、他のギャラリーでの展示を継続して観てきました。その作品は常に、器としての機能性には無頓着 のような自由さがあり、いつも目を楽しませてもらってきました。初期の頃は作家としての試行錯誤もあっ たのでしょうが、その自由さもかなりセーブされていたように思います。5年程前に赤絵を始めた頃から、 セーブしてきたものが堰を切ったかのように、器という形を超えた造形的な作品へと向かい始めました。そ んな変化に魅力を感じ、2015年に当画廊で初めて陶板と立体作品を少しだけ展示してもらいました。
 星野さんの主だった手法は、土台を作ったところに手練りで粘土を足したり引いたりしていくものです。 その手法は、彫刻家が行う彫塑に似ています。明確な「顔」を持たない星野さんが生み出す器や立体物は、明 確な「顔」を持つ具象彫刻以上に、その作業をどこで止めるか、なかなか難しいところがあるはずです。そこ は作家としての感性が問われるところです。今回の個展は、あえてその部分を問いたいという思いで、立体 物を中心にした展示をお願いしました。
 この個展が、星野さんにとって今後の立体造形への視座となることを願いつつ、たくさんの方々にご覧い ただき、感想をお寄せいただければと思っています。 (展覧会リーフレット紹介文より)
( 2017.4.15 )


「はしご」陶 340×35×8mm sold
「スケルトン」陶 径80mm sold



井上 厚の木版画

 
 画廊を始める時に、版画をメインにスタートしました。当画廊が開廊した2000年前後は、ちょっとした版 画ブームで、現在30代から40代で活躍する作家たちを輩出した時期でした。そんな若手作家とは別にもうひ と世代上で、個展をやってみたい作家リストの中にあった一人が井上 厚さんでした。
 井上さんの木版画の魅力は、伝統的な木版画の色味を継承しながらも、独特の手法を用い、現代の心象風景 を柔らかな空気感に包みながら穏やかな色調に仕上げている点にあります。観る者をふんわりと包みこんでく れます。
 今回の特集展示は、2010年から2011年にかけて制作された「LIFE WITH A DOG」シリーズ、2013年に『版 画芸術』の版画アートコレクションのために制作された「四季」シリーズに、近作6点を加えて15点での展観 です。是非ご覧下さい。
( 2017.2.24 )



2人の大切なお客様が・・・

 
 この半年程の間で、大切なお客様がお二人亡くなられました。昨年5月末にはKさんが、今月6日にはH 氏が天に召されました。
 Kさんは、とてもこつこつと若手作家と私を支えて下さった方でした。生前は、公私ともども色々なお話 をさせていただきました。依頼されていたものの準備が整い、お見舞いもかね入院先へ訪ねようと電話をし たのですが、その日は電話に出ずじまいでした。後でご子息に聞いた話では、病気が急変し亡くなられた後で した。葬儀に参列出来なかったのが心残りでしたが、後日、ご子息に生前の私との交流の様子をお伝えし、 作品の一部を買い戻させていただいたのが、せめてもの供養になればと思っています。
 H氏は、私の親世代の方で、私の画廊の行く末を静かに見守ってくれた方でした。最初の画廊を移転せざ る終えなくなった時にも親身になってお世話いただきました。美術だけでなく、文学やオペラをこよなく愛 されました。葬儀に参列し、お礼の言葉を伝え、最後のお別れをしてきました。
 お二人の共通点は、新潟では人気作家のIさんの個展開催時、ほぼ同じ時期に知り合ったということです。 ご縁をいただき、10数年お付き合いいただきました。お二人のご冥福をお祈り致します。
( 2017.1.11 )



特集展示 わたしの琳派

 
 画廊で物思いに耽っていると、時々、展示に関する面白いアイディアが浮かんできます。でも、いざどの 作家に出品依頼をし、どのような構成にするか考えていく段階で、実現しない展示も多々あります。今回開 催する『特集展示 わたしの琳派』も、半年程、出品していただく作家とその出品内容を選定する中で、 自分のイメージとなかなか上手く合わず、一時はお蔵入りになりそうでした。今回、6名の作家に琳派的な ものを表現してもらい、こうして実現することが出来ました。
 今回の展示では、2名の新人作家を紹介します。岩橋竜治さんは、現在、長岡造形大学大学院に在学中で、 「人の在りか」をテーマに、これまでは人物画を中心に描いてきました。現在は抽象的な表現に進みつつあり ます。芳賀美井さんは、新潟デザイン専門学校を卒業後、やや空白がありましたが、近年は写真を媒体にコ ンセプチュアルな表現を試行錯誤しています。
 他の出品作家4名、高橋洋子さんには板絵を、岡谷敦魚さんには銅版画を、中村一征さんには日本画を、 星野貴代さんには茶陶をそれぞれ発表していただきます。
 数年前の琳派400年とある新人作家の作品を観たことから立ち上がったイメージが、どのように画廊空間 で昇華するのか、楽しみであり不安でもあります。6名の新潟の作家たちのそれぞれの琳派をご覧いただけ れば幸いです。(案内リーフレット文章より)
( 2017.1.8 )



今年の音楽初め

 
 明けましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願い致します。

 当画廊は昨年11月に開廊16周年を迎え17年目に入りました。Kaede Gallery+full moonも4月には 開設7年目に入ります。1つ1つの企画展を丁寧に作り上げていきたいという気持ちを新たにするとと もに、美術業界を取り巻く環境が更に豊かになっていくことを願っています。

平成29年 酉年


 翌日1月8日から開催する『特集展示 わたしの琳派』の展示を終え、りゅーとぴあコンサートホー ルへNHK交響楽団新潟演奏会を聴きに行って来ました。
 前半のプログラムは、モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」序曲の後、ソリストにジャズピアニスト として著名な小曽根 真を迎えて、モーツァルトのピアノ協奏曲第9番変ホ長調K.271「ジュノム」。チケ ットを買う時に、小曽根 真の名前に惹かれたとともに、なぜ小曽根 真…という疑問もありました。 でも、実際に聴いて納得しました。3楽章それぞれの楽章の途中で、ピアノだけのソロ部分があり、そ の曲想がジャズのインプロビゼーションに近いのです。アンコールに、オリジナル曲でジャズピアノソ ロも披露してくれました。
 後半はドヴォルザークの交響曲9番ホ短調作品95「新世界から」。言わずと知れた超有名曲。これま でも何度となく聴いてきた曲なので、その展開もおのずと知れたもので、こういう有名曲を入れないと 集客が難しいんだろうななどと思いながら聴いていました。でもそこは流石N響、随所でうねるような 弦の響きにはっとしながら聞き入っていました。アンコールに、ピッチカートポルカの演奏もあり、い い年明けの演奏会でした。
( 2017.1.7 )



For Christmas 2016

 
 今年からこの時季は、クリスマス3人展を開催することにしました。メンバーを入れ替えながらシリーズ 化していく予定です。
 第1回展の今年は、陶芸家押味くみこさん、画家小山まさえさんと漆芸家佐藤裕美さんによる3人展です。 画廊の3室の空間を1室ずつ使い、それぞれの個展形式で展観します。
 入ってすぐの畳の部屋では、押味くみこさんがかわいらしい絵付けの器や「全力猫」と題したねこの小立体を50体程度展示します。真中の部 屋では、佐藤裕美さんが漆蒔絵のアクセサリーと器を展示します。今回は、金属を土台にした小さな漆蒔絵 アクセサリーもご覧いただけます。奥の部屋では、小山まさえがハガキサイズのガラス絵6点と小立体数点 を展示します。今回、小山さんには、私のリクエストで立体に挑戦してもらいました。
 今年最後の企画展です。ほっと一息つける時間が共有できればと願っています。会期は、12月11日(日)ま でです。皆様のお越しをお待ちしています。
( 2016.12.2 )

 この会期終了後、年末年始休廊に入るまでは常設展を開催します。
□常設展VI:たおやかな器
 会期:2016年12月12日(月)から12月20日(火)まで 会期中12/14(水)休廊
 営業時間:11:00~17:00

□年末年始休廊
 12月21日(水)から1月7日(土)まで休廊致します



少し早いクリスマスプレゼント

 
 現在のスペースに移ってもう6年になります。
 路地に少し入るだけなのですが、場所が分かりづらいということで、東堀通り側と玄関の右側に 電飾看板を設置しました。
 お客様のK氏による寄贈です。こうして支えて下さるお客様がいることに心から感謝しています。
 12月2日から始まるFor Christmas2016に先がけ、一足早いクリスマスプレゼントとなりました。
( 2016.12.1 )
  



音楽の秋ーギャラリーコンサートと名古屋フィル演奏会

 
 11月5日(土)午後7時から、『特集展示 絵と日々の道具』展のオープニング企画として、弦楽三重奏の ギャラリーコンサートを開催しました。縁があって2011年夏から始めたギャラリーコンサートも今年で 5年。今回演奏していただいた佐々木友子さん(ヴァイオリン、ヴィオラ)、庄司 愛さん(ヴァイオリン)、 渋谷陽子さん(チェロ)の3名による弦楽三重奏コンサートも5回目となりました。今回のプログラムは、 ボッケリーニやヘンデルといった古楽からモーツァルト、ベートーヴェンまで充実の90分でした。主催 者の特権は何といっても、リハーサルと本番の両方を聴けることです。その落差?!は言い表しがたいで すが、私一人だけが楽しめるひと時です。
 11月23日(水・祝)はマチネーで名古屋フィルハーモニー交響楽団の演奏会を聴きました。会場は、りゅ ーとぴあコンサートホール。指揮は小泉和裕(同楽団の音楽監督)。前半は、ドイツ人ピアニスト ゲルハル ト・オピッツをソリストに迎えて、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番『皇帝』。後半は、バルトークの 管弦楽のための協奏曲 Sz.116というプログラム。『皇帝』は言わずと知れた定番中の定番。バルトークの この曲は初めて聴く曲でした。5楽章構成で、第1楽章『序章』と第4楽章『中断された間奏曲』が印象に 残りました。『序章』は、森の混沌としたイメージ、『中断された間奏曲』は、森に生息する生き物たちの 祝宴といったイメージをいだきながら聴きました。
 たまたま近くの席にいた知り合いのSさんとホールから最寄駅まで歩く中で、Sさんが「こういう演奏 を聴くと、生きていてよかったなあと思うんだよね」と言うのを聞いて、「私も全く同じことを感じること がありますよ」と応じました。本当にすっきりした勤労感謝の日でした。
( 2016.11.23 )



特集展示『絵と日々の道具』と常設展V:コイズミアヤの世界

 
 この展覧会から当画廊は17年目(2000年11月3日開廊)に入ります。まずは3年、次に5年と何とかこ こまで続けてこられました。今後ともご愛顧賜りますようお願い申し上げます。

 朝起きて自宅の周りの掃除をしながら眺める山々や田園風景、庭に咲く四季の花々など、若いときには 感じなかったふとした瞬間に豊かな時間を感じたりします。ものに対しても、若いときには機能的な洋風 なものに目を奪われていましたが、最近では日本の伝統的な工芸品などの放つ色やフォルムに目が向きま す。
 この数年、時々、県内や旅先で古道具屋などをのぞいてみています。その時々、適価のものを仕入れ、 自分で使ってみたり、当画廊の2階の常設展示で紹介したりしています。
 今回は、この1年程で仕入れた道具類と画廊コレクションの油彩画を組み合わせて展示してみます。主 な新入荷の道具類は、瀬戸の森脇文直(日本工芸会正会員)による黄瀬戸のコーヒーカップ、内側に朱の漆 を施した神代杉鉢、会津漆器の鉢を初めとした漆器の数々です。陶器は、当画廊の取り扱い作家鈴木宏美 の平皿や鉢、押味くみこと星野貴代の花器などを展示します。壁には、横山博の花の油彩画3点に、信田 俊郎と長谷川徹の抽象画3点を掛けてみます。画廊空間が日々どんな雰囲気を醸し出すのか、私自身もわ くわく、楽しみにしています。是非お立ち寄り下さい。

 18日(金)からは常設展で、造形作家コイズミアヤの作品を紹介します。画廊コレクション8点による展 観です。1998年発表の「未知の信仰のための空の器ーmeditation」という初期作品、それに連なる2005年発 表の「充満と空虚ー行き方について」から、組み合わされる箱の作品、そして最新作であやとりを立体化し た「うつしかえーかめのこ」まで、その活動の変遷をコンパクトに辿ります。会期は11月27日(日)までで す。尚、会期中の営業時間は11時から17時まで、23日(水)と24日(木)の両日休廊とさせていただきます。
( 2016.11.4 )



中村文治×渡辺政光展

 
 時の経つのが何と早いことか。今回二人展を開催する2人の学生時代の個展を拝見してから10数年が 経ちます。その個展を介して、中村文治さんには2005年にボックスアートのグループ展に参加してもらい、 渡辺政光さんには2010年に個展を開催してもらいました。だいぶご無沙汰した感がありますが、その間も お二人は着々と作家としての道を歩んできました。
 中村さんの学生時代の作品は、まだまだつかみどころのないものでしたが、卒業後は屋外設置のオブジェ などに取り組み、徐々に現在取り組む木を素材とした器のオブジェへ移行してきました。2005年に出品し てもらった作品を通して、その大きな体躯(身長190cmを超える)からは想像出来ない内に秘めた繊細さを 感じたことを記憶しています。その後の作家としての経験を通してその表現は洗練され、とても魅力的な 作品が生み出されています。
 渡辺さんの版画は、白色の背景に見え隠れする人だったり心象風景だったり、そのへんは学生時代から一 貫しています。観る者を拒むと言ったら語弊があるかもしれませんが、作家自身の意図が汲み取りにくい 作品だったような気がします。今回の「reflection」シリーズは、そのタイトルからも導かれるように、少し ばかりですが、説明的な(作家の意図が汲み取れる)作品になってきました。
 1980年生まれの2人が、どんな展示空間を生み出すのか。楽しみにご覧いただければ幸いです。
( 2016.10.1 )



信田俊郎新作展

 
 信田俊郎さんの絵画を追い始めてからかれこれ20年近くになります。10年程前から信田さんの個展開催 に携わり始めて、今回が当画廊では5年ぶり3度目の個展開催となります。
 90年代後半から2010年頃まで、一貫して『光の場所』をテーマに、オレンジ系の暖色とグリッド(格子) を使い、光と影の空間構成を表現してきました。近年は、そのグリッド1つ1つが擬人化され、動き出し た観があります。信田さんの表現を借りれば、「1つ1つのグリッドが人物で、それぞれに人格を与えたい」 とのこと。キャンバスの枠を超えた躍動感を表現したいとのことです。
 今回は、3号から6号程度の小品が展覧会の中心となります。5月初めにアトリエを訪ねた時、その小品 たちと格闘中でした。信田さんというと、100号を越える大作を主に発表しているのが常です。小さな画面 は正直苦手のようです。大作のように画面上の広がりを求めても上手くはいかないようで、小品なりの取り組 み方に苦悩の色が見えました。その際、額装見本を作るために作品2点を預かってきたのですが、そのうち 1点はその色味と抽象表現の中から見えてくるかたちの中にルドンを彷彿させるものがありました。
 当画廊の空間を意識して、あえて小品中心の展観を信田さんは選択しました。未知なる『絵画』への扉 をそっと開け、新たな信田さんの絵画世界をご覧いただければと願っています。
( 2016.9.10 )

sold信田俊郎「光の場所2016-11」F3



押味くみこ陶展

 
2年ぶりに押味くみこさんの個展を開催します。
『満ちる月』と題し、月をメインモチーフにした器の数々をご覧下さい。
 押味さんの作品は、そのファンタジックな絵付けが特徴的です。手に取って下さる方々に小さな幸せ を運んでいきたいという作者の気持ちが伝わるほのぼのとした作品です。それは、立体から日常使いの 器まで幅広いものです。個展ではいつもお客様に参加してもらう立体作品が出品されます。いつも子ども 連れの方々には大人気です。押味さんらしいお客様へのおもてなしです。今回はどんなお出迎えがあるの か楽しみにお越しいただければ幸いです。
( 2016.6.3 )



舟越 桂−私の中のスフィンクス (新潟市美術館)

 
 画廊の仕事がひけた夕方、舟越 桂展へ足を運んでみた。
 今回は、企画展示室だけでなく常設展示室まで拡大しての展示で、それぞれの彫刻作品とその制作に あたる際のドローイングを対比しながら、初期作品から近作までをゆったり展観できる展示となってい る。4,5年前の東京都庭園美術館での展示を見逃していただけに、今回の展覧会は楽しみにしていた。
 まず、第1室に入ると『ラムセスにまつわる記憶』が見つめてくる。しばらく動けなくなった。どの作品もそ れぞれイメージドローイングがまずあり、それを忠実に彫刻にしているという強い印象を受ける。ドロ ーイングをする中で、実際に木を彫るイメージや彫刻としてのマスの感覚が湧き、きっとわくわくしな がら描いているのだろう。それだけドローイング作品にも魅力を感じる。
 常設展示室の展示は、その壁面や各室の特徴と相まって、雰囲気のある魅力的な展示になっていた。 6月26日(日)までの会期ですのでお見逃しなく!
( 2016.5.15 )



常設展の不思議

 
 16年目に入った今年は、月1回の企画展とその間に常設展(金、土、日のみ開廊)というパターンで運営 しています。気持ちにゆとりが出来、企画展への準備作業や集中力が高まり、いい効果が出ているような 気がします。不思議なのは、常設展中にお訪ねいただくお客様の顔ぶれが、常連の方々よりも初めて立ち寄 って下さる方が多いことです。不思議な傾向です。
( 2016. 5. 7 )



星野貴代陶展

 
 手びねりと上絵で造形的な器を発表する星野貴代さんの当画廊初個展を開催します。
 星野さんは大学を卒業後、黒陶のオブジェを制作する陶芸家佐藤公平氏に師事し独立後、個展を中心に発表 しています。この10年程、他のギャラリーでの発表を時々拝見してきました。個展の度ごとに、新しい仕事 が観れるので、いつも楽しみにしてきました。その一連の仕事の中で特に印象に残っているものは、エッチン グ風の線描がほどこされた白い陶板や器です。造形的な器とマッチし、遊び心があります。最近は、赤の上絵 と金彩のマッチング、ブルーの上絵と様々な色での紋様など、新たな色使いと造形性を模索しています。
 個展準備がどのように進むのか質問をすると、前の個展でやり残した感のあるものから始まり、それが自分 なりに一段落したら、次の新しい発想へ進んで行くという繰り返しだそうです。今回の個展発表作で最初に見 せてくれたのが、白い陶板に部分的に透明ガラスを加えた器、その後、今回のDMにした陶板にクレヨンで のドローイング作品です。その後、どのような新たな発想が星野さんの頭の中を駆け巡り、どんな作品が並ぶ のか、それを今回は自分の画廊で観れるのを心待ちにしています。
( 2016.4.16 )



現代のアートとデザイン展(新潟県立万代島美術館)

 
 4月3日(日)夕方、新潟県立万代島美術館で開催中の所蔵品展『現代のアートとデザイン』を観に行って来 た。毎年この時季、県立万代島美術館ではテーマを決め所蔵品展が開催される。繰り返し観る作品もあるが、 所蔵品をどのような切り口で見せてくれるのか、いつも楽しみにしている。
 今回は、館の展示面積の半分位を使って、「感じる」「見つめる」「考える」というテーマ設定の3室での構成。 案内に、「2000年前後に制作された新しい作品を中心に、展示空間と作品を新鮮な目と心で体験していただき たい」とあるように、可動パネルで様々な空間構成が出来る利点を利用して魅力的な展示空間が作りあげられ ていた。こういう空間を見るといつも、画廊の限られた空間の中でもどのような見せ方が出来るのか、いろい ろと考える刺激となる。
 「感じる」の空間には、当画廊の取り扱い作家白木ゆりの「Sound-40」も、入ってすぐに千住 博 「WATERFALL」、山口啓介「水路ー王の方舟」に続いて展示されていた。
 もう一度この展示空間を愉しむために、会期中訪ねてみたいと思う。
( 2016.4.3 )



小山まさえ「れもん月」(ガラス絵)と南天

 
 毎年新年になると自宅の庭になる南天をうまい具合にカットし、気に入った器に活けてみます。3月になっ ても活き活きしていたので、小山まさえさんの個展会期中、ガラス絵の小品「れもん月」と並べてみました。 ガラス絵の透明なブルーとイエロー、赤い実がいい雰囲気を醸し出していました。器は、真木弘姫の飯碗です。
( 2016.3.20 )



小山まさえ展

 
 1年程前、例の安保法案が国会審議中の頃だったと思います。小山さんが画廊を訪ねて来て、「ざわざわ した世の中になってきましたね。私は戦争は断固反対です。今、自分なりに平和を祈りながら絵を描いて います。まとまったら見て下さい」と言ったことがありました。その後半年位経った頃見せてもらった絵 の中には楽しそうに音楽を演奏している人の姿がありました。それが今回DMにした「チェロ弾きとねこ」 です。ここから「音楽」をテーマにした作品を中心に据えた個展の準備が始まりました。
 私もジャズやクラシックといったジャンルの音楽を聴くことが好きで、時々コンサートに足を運んだり します。会場にあふれる豊な音に身をあずけながらふと思うことがあります。穏やかな日々の小さな幸せ を。
 そんな喜びが画面からあふれ出てくるような「音楽」をテーマにした作品と日々の生活の中で見かける「風 景」をファンタジックに仕上げた作品、2つのテーマで20号から小品まで14点で今回の個展は構成されて います。小山さんが感じる平和への気持ちを皆さんにもお裾分け出来ればと願っています。
( 2016.3.18 )



My Sweet Home

 
 2月19日(金)から2月28日(日)までの会期で、女性作家4名によるテーマ展「My Sweet Home」を 開催します。出品作家はいずれも当画廊で個展を開催しているお馴染の作家たちです。
 坪井麻衣子さんは新潟市出身で、現在は日本大学芸術学部の助教をしながら東京を中心に発表を しています。何気ない日常の風景と生まれ育った新潟の原風景を淡いトーンの油彩画で詩情豊かに 描きます。
 弦巻理江さんは新潟市在住の版画家です。当画廊では、10数年前からガラス絵の発表をしてもら っています。近年は、レンコン版画によるワークショップなどでも活躍中です。カラフルな色の組み 合わせによる絵作りが魅力的です。
 星 奈緒さんは魚沼市出身で長岡造形大学卒業後、現在は東京在住でパステル画家として活動して います。モデルとは対峙せず、自分のイメージの中の人物像を紙とパステルという素材で指で描き 出します。
 好宮佐知子さんは東京生まれで静岡県三島市在住、東京藝大で壁画を学び、国内では数少ない フレスコ画家として活動しています。日々目にする日常風景を水彩特有の淡いトーンで表現しま す。
 以上4名の作家による4号以下の小品20点での展観です。家に飾ってほっとするようなお気 に入りの作品が見つかればと願っています。
( 2016.2.19 )



新春に日本画を愉しむII

 
 明けましておめでとうございます。
 おかげさまで昨年11月、開廊15周年を迎えることが出来ました。
 本年もよろしくお願い致します。
 今年も新春をきらびやかな日本画で彩ります。心象風景と花をテーマに、ギャラリーコレクションを中 心に12点を展示致します。今回は、この展覧会用に依頼製作した佐藤裕美の漆蒔絵新作2点、伝統的な 花鳥風月、干支の猿をイラスト風に描いた作品を紹介します。併せて、漆蒔絵アクセサリーの展示販売も あります。お楽しみに!
( 2016.1.8 )



メディアシップ クリスマスマルシェ

 
 12月13日(日)、新潟日報メディアシップで開催されたクリスマスマルシェに出展しました。弦巻理江 の新作ガラス絵「For Christmas」14点に佐藤裕美の漆蒔絵アクセサリー10点、星野貴代の陶器などを 紹介しました。周りはアクセサリーやバッグなどの小物や衣類、クッキーやケーキなどの販売で、最初 から予測できたことですが、当画廊はかなり異色の存在でした。お訪ねいただいた方々にはお礼申し上げ ます。天候も落ち着いていて来場者も多く賑わいましたが、何となく皆さんの顔が暗いのは世相のせいで しょうか。
( 2015.12.15 )
メディアシップ クリスマスマルシェ 会場1   メディアシップ クリスマスマルシェ 会場2  



中村一征展 | 花と器物

 
 今年も残すところ1ヶ月。当画廊は、中村一征さんの4年ぶりの個展で今年を締めくくります。
 当画廊での個展は2002年からほぼ2年に1回のペースの開催で、今年で7回目となります。初期から 一貫した絵作りは、抽象絵画的な背景を丹念に作り、その上に「かたち」を描くという手法です。その 「かたち」も紋様、円形、花、灯火器、器物と形を変えてきました。背景作りも徐々に細やかになり、 それだけで絵画として成立するのではという私の思いで、2009年の個展では「かたち」を描かない、 いわゆる抽象絵画を発表してもらったことがあります。作家本人の中では、かなり不完全燃焼であった ことを後で知ることになりますが…。それを境に、箔の使用や筆跡をあえて残すストローク的な背景 作りの変化が現れてきました。
 今回の「かたち」は花と器物。背景は新たな格子柄など、描くかたちに合わせ様々な趣向が凝らされ ています。3号から8号までの新作11点に、「灯火器ーIII」(F20/2011年)と「器物 碗」(P12/2014年)の 旧作2点を加えての展示です。是非ご覧下さい。
( 2015.12. 5 )



蜷川実花展開場式に行ってきました

 
 11月27日(金)、新潟の冬の到来を告げるような強風の午後、新潟県立万代島美術館で開催される 蜷川実花展の開場式に行って来ました。
 展示面積、作品点数ともこれまでの最大規模という本人の弁。色鮮やかな花の部屋から始まり、最 後は新作の長岡花火で締めくくる展示構成。それぞれの展示ブースとそのつながり具合がとてもリズ ミカルで観覧し易い構成です。私のお勧めは、中ほどの照明を落とした「桜と水」を展示したブース と最後部のモノクローム「セルフポートレート」の展示ブースです。前者は絵画的な要素を、後者は モノクローム写真の魅力を伝えてくれます。
 会期はロングランで来年の2月28日(日)まで。皆さんも是非どうぞ。
( 2015.11.30 )



Annual Show 2015

 
 11月14日(土)までAnnual Show 2015を開催中です。
 1年のレビューという位置づけで、当画廊の企画個展作家5名による作品を再度紹介します。 個展時発表作品+新旧作品という構成で20点を展示致します。
 4月に当画廊で初個展を行った季村江里香さんは、織から絵画へ転向して間もない作家です。 荒削りながらそこかしこに今後の可能性を感じさせる作家です。鉛筆画による新作(写真)を送ってくれました。
 5月にはヤマクラコウジさんによる画廊空間をテーマにした写真展を開催しました。季節ごとの画廊の 光と影を記録してもらいました。現在隣の空き地にアパート建設が始まり、来年3月には竣工とのこと。 きっと光の加減が変わることでしょう。
 7月には星 奈緒新作展『誰かの肖像』を開催しました。昨年に続き2回目の個展は、実在するモデル のいない人物画という、星さんの作品の方向性を確実に示す個展となりました。
 8月には念願だった坪井麻衣子新作展を開催しました。坪井さんの作品の魅力は、かたちの単純化と 明るい色調にあります。私が個人的に好きな作品「海は見えた?」も再々度展示します。
 9月には3年ぶりに好宮佐知子さんの個展。フレスコ画という特殊なジャンルということもあり、 新しいお客様も多く評判のいい展覧会でした。好宮さんが使う色調も明るいトーンのものが多くなり、 次の展覧会が楽しみです。
( 2015.11.1 )
季村江里香「devil fish」
季村江里香「devil fish」鉛筆、キャンバス F6



近藤達雄展 「花、女、夜ーその4」

 
 近藤達雄さんが描く「女」を5年に渡ってこれまで3回観てきた。描かれた「女」の表情や側面から醸し出さ れる雰囲気から、そのモデルの人となりが透けて見えてくるような印象をずっと持ってきた。
 先日も、画廊で今回のDM掲載作品のモデルの話になった。私が意志の強い人でしょうと尋ねると、そ うだという返答。モデルにまつわる色々な話を聞かせてもらったが、プライベートなことでもあるので、 ここでは割愛するが、20歳代前半の駆け出しの美容師とのこと。話を聞いていて、モデルとなる人との 日々の対話、付き合いの積み重ねの中で、絵の対象となるモデル像が確立していくのが分かる。前回の個展 から「女」に植物や動物などが合わせて描かれるようになった。それぞれのモデルのイメージに合ったものを 組み合わせているようだ。今回もこのモデルにはゆりの花が組み合わされている。

 今回も2階展示室では、近藤さんの専門学校時代の教え子達による3人展を同時開催する。前回に引き 続き2回目の佐藤裕美(漆蒔絵)と荒井 英(球体関節人形)、あらたに芳賀美井(写真)を紹介する。
( 2015.10.3 )



今年は地方オケ三昧

 
 今年の上半期はいろいろな面で余裕がなく、コンサート通いはお休み。毎年行っていた「ラ・フォル・ ジュルネ新潟」も1公演も聴かずじまい。やはり何か欠けた感じがし、バランスが悪い。6月以降は9月 まで、偶然、地方オーケストラの公演が続き、3つの演奏会を聴いた。
 まずは、大好きなオーケストラ、オーケストラアンサンブル金沢の新潟公演(6月24日りゅーとぴあ)。 指揮はこのオーケストラの音楽監督を務める井上道義、ソリストにヴァイオリンの五嶋みどりを迎えて の公演。シューマンのヴァイオリン協奏曲はコンサートプログラムとして取り上げられるのは珍しいら しい。私も初めて聴いた。五嶋みどりのソロは圧巻。体全体がヴァイオリンになったかのようなしなや かな演奏だった。後半のプログラムとしてブラームスの交響曲第2番が演奏された。
 次に、山形交響楽団の新発田特別公演(8月2日新発田市民文化会館)。モーツァルトのピアノ協奏曲 第20番。この演奏会にあたりソリストオーディションが行われ、金沢出身の木米真理恵(きのえ まりえ) が選ばれた。若いソリストと有名曲の組み合わせ。会場全体が若いソリストを温かく見守る雰囲気を 醸し出していた。安定した演奏ながら、終了後のソリストの安堵感がひしひしと伝わってきた。後半の プログラムはベートーヴェンの交響曲第7番。音が割れる。このホールがオーケストラ向きでないのを 痛感して会場を後にした。
 9月に入り、大阪フィルハーモニー交響楽団の新潟特別演奏会(9月26日りゅーとぴあ)。高関 健指揮 で、午後2時開演のマチネ。ドヴォルザーク「交響曲第9番《新世界より》」、シューベルト「交響曲第7番 《未完成》」、ベートーヴェン「交響曲第5番《運命》」という超有名曲を揃えてのプログラム。出だしの音 からしびれた。例えが上手くないかもしれないが、豊かな瞬発力を持ったオーケストラといった印象。本当 に聴きに来てよかった。休憩時間にプログラムを眺めていると、指揮者朝比奈隆の名前を見つけ、思い出 したことがあった。今から40数年前、私が15歳(中学3年生)の時、朝比奈隆指揮のこのオーケストラの 新潟公演が新潟県民会館であることをどこからともなく聞き、どうしても聴いてみたくて当日券を求めて 出かけて来たが、残念ながら聴けなかったことを。
( 2015.9.26 )



好宮佐知子展に寄せて

 
 8年程前に好宮佐知子さんの作品に出合ったのがこのスペースだった。その頃は、越野泉さんが 画廊Full Moonとしてこのスペースを運営していて、好宮さんの個展を企画したのだった。私は少 し離れた所に画廊を持っていて、彼女の作品を観て「これは自分が企画すべき展覧会だ」という勝手 なる深い思い込みをし、初期の小さなドローイング1点を買い求めたのだった。つまり、瞬間にし て作品に惚れ込んでしまったわけだ。その後、紆余曲折を経てこのスペースを引き継ぐことになっ て、3年前(2012年10月)に新作個展を開催してもらった。
 好宮さんの作品は、まずパネルに寒冷紗をはりこみ白亜地の支持体を作ることから始まる。そこ にガッシュや鉛筆を中心に絵作りしていくというもの。古くは、漆喰壁の支持体に描いたフレスコ 画の手法である。フレスコ画というとすぐに思い浮かぶのが、ヨーロッパの教会の壁を飾る細密画 だと思う。好宮さんの描くのは光と影。具象表現であるか抽象表現であるかという問題は別として、 いろいろな事物をそぎ落としたいたってシンプルな表現。季節ごとに変わる光の加減の捉え方は絶 妙だ。初春の日差しは確かにこんな感じだよねと、納得させてくれるように。画面に醸し出される 穏やかな表情は、絵具が白亜地に染みこんで作る透明性と、近寄って見ないと見落としがちな鉛筆 による点描や線描の結果から生まれている。
 日々の生活の中での季節の移ろいを「光と影」というモチーフに託し、繊細に描き止める好宮佐知 子の世界をお楽しみいただければ幸いです。
(2015.9.12)



坪井麻衣子新作展に寄せて

 
 この春先から2階の常設展示コーナーに、坪井麻衣子さんの「海は見えた?」(F8/2011年制作)という 作品を飾ってあります。面とやや太めの線を多用し、高所から海の方へ続く風景を描いた何気ない作品 です。私のお気に入りの作品で、お客様の評判も上々です。海へ続く風景は、坪井さんの繰り返し描く モチーフのひとつです。現在は地元新潟を離れて東京で暮らす坪井さんにとって、10代の多感な時期を 過ごした原風景なのでしょう。「夜な夜な新潟を恋しく思って描いています」というのは本人の弁です。 もうひとつ繰り返し描かれるモチーフである夜の風景とともに、明るいトーンの色調が特徴的です。キ ャンバスは、裏側の荒い目の部分を表にし張替え使用しています。そのせいか、ざっくりとした面が効 果的に作られ、絵具の発色も油絵具そのものというよりもオイルパステル的で、穏やかな表情が画面に 醸し出されます。
 もうひとつ繰り返し描かれるモチーフに「鳥」があります。坪井さんにとって鳥が何の象徴であるか 定かではありませんが、愛らしい鳥が描かれます。技巧的には決して上手くはなく、何かぎこちなさが 残る描き方にも作品を魅力的にする要素が隠れています。
 これまで何回かグループ展で紹介してきた坪井麻衣子さんの新作による当画廊初個展です。多くの方 々にご覧いただけたら幸いです。
(2015.8.27)

「海は見えた?」 oil on canvas
F8(455×379mm)       2011年



星 奈緒 新作展『誰かの肖像』に寄せて

 
 画廊を始めて数年経った頃、あるお客様に「(あなたは)苦労していない顔をしていますね」的なこと を言われたことがある。その頃はやや複雑な思いで受けとめていたのだが、50代も後半に入ると、更に 年齢を重ねてもそういう顔でいたいと思うようになった。日々の生活の中でも、年を重ねたこういう人 の顔はいいなあと、自分よりも年輩の方々を眺めることが多い。
 従来の人物画を描く画家達は、モデルとなる対象の人となりを画面に描き出すことを主眼に置いた。 故に、モデルとの対話を重視したり、寝食を共にし描いたものだ。その最たるものが、自分の恋人や 伴侶をモデルとするものだろう。では、星奈緒さんの描く人物画はというと、モデルは自分の記憶の中 にインプットされた架空の人物である。実際にモデルと相対さないのは、悪く言えば、内向的な現代の 若者気質と批判されるかもしれない。星さんの言葉を借りれば、「へこみを埋めて、でっぱりをならし、 平らにしていく」その作業が、その対象との対話であり、その人なりの生成の過程なのだ。そういう 人物画の描き方があってもいいと思う。
(2015.7.4)



2015年1月から6月の展覧会記録にかえて

 
諸事情あり半年程ホームページの更新を休ませていただきました。ご迷惑をおかけしました。
展覧会記録にかえて1月から6月まで開催した展覧会をかいつまんで紹介します。

□新春に日本画を愉しむ / 1月9日(金)~18日(日)

 当画廊取り扱いの日本画家杉原伸子と中村一征の作品を中心に紹介しました。
 画廊は新年にふさわしい落ち着いた雰囲気に満ちていました。盛況でした。

□コレクションへの誘い / 3月6日(金)~15日(日) 3月20日(金)~29日(日)

 Part1ではドローイングコレクションに星野貴代の新作陶オブジェなどを紹介しました。
 Part2では『夜を描く絵画』というテーマの絵画コレクションに押味久美子の新作カップを
 紹介しました。

□季村江里香展 / 4月11日(土)~25日(土)

 金沢美術工芸大学で染色と織を学んだ作家が絵画での表現を模索。当画廊での初個展を開催
 しました。作家本人にとっては、次のステップとなる個展となりました。

□立体的ナルモノ / 5月1日(金)~10日(日)

 画廊コレクションの中から、ブロンズ彫刻やボックスアート、陶立体を展示しました。
 5月連休中にも関わらず、比較的多くの方々にご覧いただきました。

□ヤマクラコウジ写真展 / 5月16日(土)~30日(土)

 画廊空間の光と影と題し、昨年の初夏から今年の3月までヤマクラさんに撮影してもらった
 画廊内部や画廊周辺のモノクローム写真を展示しました。

□日々の器 / 6月5日(金)~14日(日)

 Kaede 器の年1回のセールを開催しました。陶器100点に併せて、今回は古い漆器も展示
 販売しました。

□版画コレクション展 / 6月19日(金)~28日(日)

 風景への視点と人物への視点をテーマに、木版画や銅版画などのセレクション25点を展示
 しました。版画好きの方が訪ねてきて下さり、販売の点でもまずまずの展覧会でした。
(2015.6.30)



コイズミアヤ展ー箱の仕事

 
 今あらためて『BOXART展』(2001〜2002 全国巡回/新潟市美術館)の図録を眺めています。コイズミ さんの作品に最初に触れた展覧会です。作品制作における素材や仕組みは、その当時から現在まで一貫 したものがありますが、この展覧会に出品された「鳥をつかまえるための装置i」など作家デビュー当時 の作品には、壮大な仕掛けがあります。その中にはコイズミさんがイメージする物語やおおげさに言えば 宗教観のようなメッセージが明示されているようです。
 その作家から鑑賞者へというベクトルが、近年少しずつ逆向きになってきているようです。箱を開ける と現れる空間を鑑賞者がそれぞれのイメージで捉え、空想の世界に遊べるような。閉じられた内の世界と 開かれた内の世界ーその仕掛けが2011年に発表された「しくみの内側のしくみ」に昇華されています。今 回はこの作品を核に、この10年あまりの仕事の中からの展示の機会となります。
*リーフレット掲載文章  (2014.12.6)



岡谷敦魚版画展ー版画集『二つの世界・デミアンについて』刊行記念―に寄せて

 
 私が岡谷さんと知り合った頃、岡谷さんはボックス型の額の前面に張子の石を配置し、その背景に 水墨画を想起させるような抽象的な版画作品を発表していました。その後、その「石」は版画そのもの の画面に入り込み、作品は鑑賞のてがかりを与えるように少しだけ具象方向に進みます。ただ、一貫 して作品の根底にあるものは、侘び、寂びの世界であることは変わりません。
 今回の個展では、ヘッセの『デミアン』を題材にした版画集を刊行します。この作品の一部は、2013 年11月に当画廊で開催したグループ展「美術としての本」で発表されたものです。会期中、この一連の 作品を眺めているうちに、ここに数点加えて版画集が編めないかという考えに至りました。浮き出した 英文文字、その背景の処理や指紋の刻印が、人の存在やその人が過ごした時の移ろいなどを感じさせる 重厚な作品に仕立てあげられています。<個展リーフレット紹介文>

お知らせ:月刊ギャラリー11月号に紹介文が掲載されています。
(2014.11.15)



中村一征 X 矢尾板克則展

 
 11月11日(火)からギャラリーmu-an(長岡市)で日本画の中村一征さんと陶芸の矢尾板克則さんの 二人展が始まりました。お二人の組み合わせは、今回で2回目。一昨年の11月に当画廊で開催し て以来です。同年代の二人が生み出す作品と空間は、つかず離れずお互いにいい意味で刺激しあっ います。仕事の関係で会場に足を運べないのがとても残念です。中村さんの作品が気になり、 先日アトリエを訪ねました。まだ完成していない作品もありましたが、先んじて今回発表 する新作を拝見してきました。1時間ばかり休日の幸せなひとときでした。
(2014.11.11)



弦巻理江ガラス絵展ーものがたりから生まれた絵画

 
 早いもので、弦巻さんの企画個展開催も今回が5回目となります。最初が2003年の開催ですから、十数 年のお付き合いとなります。その間、弦巻さんも結婚しお嬢さんをもうけました。今回は、子育ての中で 読み聞かせした物語が題材となっています。弦巻さん自身が「ものがたりから生まれた絵画」をテーマに選 び、古今東西の古典「アラビアンナイト」や「かぐや姫」から最近のお話まで、その登場人物や情景を色鮮やか なガラス絵で表現しました。20点での展観です。是非ご覧下さい。
( 2014.10.17 )



3人展とギャラリーコンサート

 
 瀧谷美香×坪井麻衣子×好宮佐知子展開催中に2つのギャラリーコンサートを開催しました。
 1つは、新潟総おどり祭の関連イベントで行われた柳都インミュージックで、9月14日(日)に薫風の音 の出演(写真左)で邦楽が奏でられました。邦楽の定番曲から現代曲のアレンジまで、出演者の軽妙のトーク とともにとてもアットホームなコンサートでした。
 2つめは、当画廊の主催で、佐々木友子(ヴァイオリン、ヴィオラ)と庄司 愛(ヴァイオリン)のデュオコン サート(写真中)を20日(土)に開催しました。お二人のデュオコンサートは今回で3回目。繰り返しお越しく ださるお客様も増え、盛況のコンサートとなりました。当日のプログラムは、テレマンからバルトークまで、 音楽史で言えば300年に渡る数名の作曲家の曲を取り上げたバラエティに富んだものでした。熱のこもったお 二人の演奏にお越しいただいた方々も満足のご様子でした。
 写真左は、ギャラリーコンサートの余韻ともに、帰り道で萬代橋方面を撮ったものです。
( 2014.9.21 )
   



瀧谷美香×坪井麻衣子×好宮佐知子展-風景への視点

 
 「風景への視点」をテーマに、同世代の女性作家3名のそれぞれの世界を3つの個展形式で紹介します。
 瀧谷美香(1979年新潟県生まれ)は、2002年新潟大学大学院在学中から、当画廊で10年程個展を中心に発表を続けました。 その油彩作品は、雨に濡れた路面に輝く光を切り取った初期作品から霧に霞んだ都市風景、空と建物の境目などをモチーフ に描いてきました。今回は、近年取り組むガラス絵でヨーロッパ風景などを色鮮やかに描き出します。
 坪井麻衣子(1979年新潟県生まれ)は、2007年に東京藝術大学大学院を修了後、個展を中心に発表を続けています。当画廊 では、2年程前からグループ展で作品を紹介しています。来年6月には個展を開催予定です。東京で制作活動する作家が描き 出す世界は、日々目にする事物の心象風景ですが、高校卒業まで暮らした新潟の原風景が常にその背景にあるようです。 今回は、油彩画の小品を中心に展観します。
 好宮佐知子(1977年東京生まれ)は、2006年に東京藝術大学大学院後期博士課程(壁画)を修了し、フレスコ画の作品発表を 続けています。当画廊では、2011年10月に開催した個展「十二ヶ月」以来の展示となります。来年9月には、2回目の個展開催 を予定しています。白亜地をベースに絵具と鉛筆で繊細に紡ぎ出される光と影は、おだやかで温かみのある空気感を伝えま す。今回は、フレスコ画の小品を中心に展示します。
 会期は、9月13日(土)から27日(土)までです。是非、三者三様の世界をお楽しみ下さい。
( 2014.9.12 )



鹿嶋裕一「萬代橋」

 
 今回の個展で発表された新作「萬代橋」。
 新潟の象徴がまるで古代ギリシャの建築物のようにファンタジックに描かれました。

鹿嶋裕一「萬代橋」水性木版画   「萬代橋」水性木版画
600×850mm ed.5
シート価格 ¥ 52,000(税込)
額装価格 ¥ 70,000(税込)



鹿嶋裕一版画展

 
 9月7日(日)まで鹿嶋裕一版画展を開催中です。今回が当画廊初個展です。
 当画廊が開廊した2000年前後は、版画の世界も賑やかで、現在30代後半で活躍する新世代の版画作家を多く輩出した 時期でした。あれから10数年、その後に続くオリジナリティのある版画作家が出てこないのを残念な思いで傍観してい ました。
 本当に久しぶりにオリジナリティ溢れる若手版画作家をご紹介出来ます。1981年東京生まれの鹿嶋裕一さんは、東京 藝術大学を卒業後、美大で後進の指導をしながら個展、公募展など発表を続けています。作品の題材は、ごく身近な都 市風景ですが、その視点は俯瞰的かつ立体的です。伝統的な木版画の手法で、大胆な構図で描かれたその風景は、鹿嶋 さんのフィルターを通してファンタジックな情景へと昇華されていきます。出身地で今も暮らす東京都町田市近郊の風 景を主に題材にしています。
 今回の展示では、鹿嶋さんの視点で新潟の風景も題材にしてもらいたくお願いしました。今年5月末に数日、新潟を 取材し生まれた「関屋分水」など、新潟関連の新作数点も並びます。お楽しみに!
( 2014.8.27 )



星 奈緒展

 
 7月19日(土)まで星 奈緒展を開催中です。今回が当画廊での初個展となります。
 一年程前、ある場所で観た星さんの作品は、私の眼には「静謐」という言葉がぴったり当てはまる ような絵画でした。とても気に入り、すぐに声をかけさせてもらい、今回の個展開催となりました。 後日、打ち合わせでお会いした際の星さんの印象も、その絵画に通じるものがありました。
 今回の展示内容は、新作を中心に(旧作3点を含む)12点のパステル画による展観です。DM掲載図版 に使用した「つらなり」は、ある本の開かれたページの上に置かれた指や手を描いた作品です。4点の 連作で展示しています。それぞれ指や手の部分やそのサイズ、配置が異なるものの、緻密に描かれた その指や手からは人の温もりが伝わってきます。この作品につながる「質量の形」(F10号)は、ブルー 系の背景に人の両足のひざから下の部分が描かれたもの。人物に対する現在の星さんの視点なのでし ょう。メインの展示にしてみました。
 今回はもう一つの視点として、松ぼっくりや木の枝、葉っぱなどを描いた作品群があります。いわ ゆるコテコテのリアリズム絵画とは異なる趣です。その中でも、台の上に枝葉を立てた配置で描かれ た「植物標本」という作品が、私自身の一押しです。
 若い感性で描かれたパステル画を多くの方々にご覧いただければ幸いです。7月12日(土)、13日(日) には作家も在廊しています。是非お越し下さい。
( 2014.7.7 )



木版画3人展-小作品による&井上厚木版画の世界

 
 6月3日(火)まで北区葛塚のスペースで『木版画3人展:小作品による』を開催中です。出品作家は、井上厚、坂本恭子、 長島充の3名です。いずれもハガキサイズ程度、またはそれ以下の小作品13点を展示しています。井上厚作品は、最近作 の「四季」の連作4点に旧作1点を、長島充作品も最近作の「フクロウ」の連作4点に、銅版画によるフクロウの作品1点を参考 作品として、坂本恭子作品は7.0×7.0cmサイズの旧作3点を展示中です。どれも飾る場所を選ばず、価格も手頃です。

   

 6月6日(金)からはKaede Gallery+full moonのスペースで『おだやかな日々・・・展 Part 1 井上厚木版画の世界』を開催 します。先に紹介した小品「四季」の連作4点に、旧作からセレクトした9点を加え、13点で展観致します。
 井上厚の木版画は、伝統的な彫刻刀による彫りの多色刷り版画とは異なり、版木を画面の背景として用いるものの、いわ ゆる絵作りは型紙等で行います。バレンによる熟練した刷りから生まれるぼかしが特徴的です。暖色を中心とした淡い画面 がほのぼのとした雰囲気を醸し出します。旧作では、数年前から現在も取り組む「LIFE WITH A DOG」シリーズ、さらにさかの ぼり「月の舟」など寒色を中心にした夜の雰囲気を描いた作品もご覧いただきます。是非ご覧いただければ幸いです。

                                         
( 2014.5.30 )



ヤマクラコウジ写真展 ERA

 
 当画廊での3年ぶり2回目の個展を、5月16日(金)から25日(日)まで開催します。前回は、2011年に「発光」 というタイトルで開催しました。その後、2012年2月「セッション2012:2画廊の推薦作家による」と2013年 11月「Artist's Books:美術としての本」の2つのグループ展に出品してもらい、当画廊での発表を重ねてき ました。
 ヤマクラさんの写真の魅力は、何気ない日常の風景を抽象的に切り取るところにあります。Artist's Books で発表した「5-38-17-101」という自分自身が現在住む住所番号をタイトルにした写真集が私の手元にあります。 トイカメラで撮ったモノクロームの写真集です。その中の室内風景を撮影した1枚が、抽象絵画のようでとて も気に入っています。
 今回の個展に際し、ヤマクラさんから届いたコメントを紹介します。

   今回の制作に当たり、撮影、現像、プリント、レイアウト、全ての作業においてとても困難を極め
  苦悩しました。そのせいか、とても絶望的な写真ばかりが並びます。それでも少しでもその中に希望
  がなければと努めました。

 モノクローム写真18点での展観です。是非ご覧下さい。
( 2014.5.15 )



久しぶりの金沢~富山への旅

 
 5月4日(日)から5日(月・祝)にかけ連休中の休みを利用して、画家のI氏、コレクターのN氏とともに金沢~ 富山へ行ってきた。7、8年ぶりの金沢方面へ、おじさん3人旅。
 主目的は、金沢のガレリアポンテさんで開催されている瀧谷美香さんの個展を拝見すること。画廊主のM さんが独立開業してから5、6年になるが、今回初めて訪問した。瀧谷さんの個展は、瑞々しいガラス絵が壁 面を飾っていた。1時間程画廊におじゃまし、その後、金沢21世紀美術館や茶屋街など、金沢の街を散策し、 宿泊先のホテルのある富山へ移動し初日は終了。
 翌日5日は、あいにくの小雨模様。朝、富山城址を散策し、I氏が偶然見つけたポスターで展覧会を知り、 中川幸夫展が開催されている樂翠亭美術館へ。ある方の私邸を地元の企業が買い取って数年前に美術館にし たもの。和室のしつらいの中、工夫を凝らして丁寧に展示がされているといった印象。桧風呂(もちろんお 湯ははられていない)の中に座り、その視線で日本庭園を見ることも出来た。庭園の散策も楽しかった。私 設的な美術館にも関わらず、ショップも充実している上、展覧会図録も丁寧に作ってあることには感心した。 過去の図録を見る限り、モノ派や現代陶芸の展覧会など比較的渋い展覧会のラインナップ。富山に行ったら また訪ねたい場所が増えた。
 この美術館を運営する会社は、美術作品を配したリゾートホテル雅樂倶も運営していることを美術館スタ ッフの方にご紹介いただき、新潟への帰路立ち寄ってみることにした。富山の街中から飛騨高山方面へ車で 1時間あまり、富山市郊外のダム湖を望む贅を凝らしたリゾートホテルだった。ホテルスタッフのご厚意で ホテル内も拝見させていただくことが出来た。現代陶芸作家鯉江良二、小川待子、内田鋼一などの作品がセ ンスよく配置された贅沢な空間だった。
( 2014.5.10 )



ラ・フォル・ジュルネ2014新潟

 
 今年もラ・フォル・ジュルネを楽しんだ。地元のアマチュアオーケストラ、本公演初出演の新潟交響楽団と 新潟市ジュニアオーケストラの公演も含め、各オーケストラの演奏をそれぞれ1回ずつ、他は室内楽を中心に 全8公演を鑑賞した。ジュニアオーケストラはだめもとで飛び込みでチケットを入手し聴いたのだが、アンサ ンブルの練習がとても行き届いていて、若々しいいい演奏だった。
 今回は、三都物語(ウィーン・プラハ・ブダペスト)をテーマに、ドヴォルザークとブラームス、バルトーク を中心にしたプログラムが組まれた。4月25日(金)のオープニングは、オーケストラ・アンサンブル金沢による 3人の作曲家の舞曲集の饗宴。指揮者が予定の井上道義から若手の三ツ橋敬子に変更になったものの、躍動感 溢れる、オープニングにふさわしい華やかな幕開けとなった。
 26日(土)と27日(日)は夕方から夜の公演を中心に聴き、ドヴォルザークとブラームス三昧。特に印象に残っ た3つの演奏を紹介する。
 26日(土)夜、能楽堂で聴いたプラジャーク弦楽四重奏団の演奏は、安定感のある濃密な演奏だった。前半は、 ドヴォルザークの弦楽四重奏第12番「アメリカ」、言わずと知れた有名曲。曲の背景にあるイメージが浮かんで くる演奏だった。後半は、弱冠24歳のフランス人ヴィオラ奏者ベンジャミン・ベックが加わってのドヴォルザ -ク弦楽五重奏曲変ホ長調 op.97。緊張感の中にも5人が楽しそうに演奏しているのが印象的だった。
 27日(日)夜、コンサートホールでは大友直人指揮の群馬交響楽団を聴いた。この数年、地方のプロオーケス トラアを聴く機会が増えたが、群響を聴くのは今回が初めて。ピアノのフィリップ・ジュジアーノを迎えて、 ブラームスのピアノ協奏曲第1番。群響のオーケストレーションの素晴らしさと、ジュジアーノのスリリング で情感豊かな演奏で、会場は盛り上がった。
 27日(日)夜、最後に音楽文化会館で聴いたマリナ・シシュ(ヴァイオリン)、アンリ・ドマルケット(チェロ)、 エマニュエル・シュトロッセ(ピアノ)の3人によるピアノ三重奏は、ブラームスの第1番とドヴォルザークの 第4番。最後まで緊張感の続く演奏だった。ピアノのシュトロッセはいろいろな編成をそつなくこなす名手。 今回3つのプログラムにシュトロッセは出演したのだが、偶然全公演を聴くことになった。
 来年の開催も楽しみにしている。ラ・フォル・ジュルネが終わってしまうと、なぜか自分自身の5月の連休が 終わったような気分になってしまう。
( 2014.4.29 )



小山まさえガラス絵展

 
 隔年開催の企画個展も今回で5回目となります。過去4回は、『私の紡ぐ物語』というタイトルで2回、 版画のみの個展、抽象作品を中心とした個展と、その都度テーマを決め開催してきました。個展以外に は、グループ展『花の彩り』へも参加し、様々な花も描いてきました。
 今回はガラス絵20点で、小山さんが今までに取り組んできた3つの世界-物語・花・抽象-をご覧いた だきます。会場も3つのブロックに分け、それぞれの世界を楽しんでいただけるよう工夫して展示してみ ました。
 最初のブロックは『物語』。小山さん自身が読んだ本の中から印象的な場面を、文字の世界から絵画 作品へと昇華したものです。「旅の途中で」という作品は、細かな事物を小さな画面の中にちりばめたも のですが、観ていると何かうきうきしてくる感のある作品です。「音楽の街」という作品は、毎年4月下旬 に新潟でも開催されるラ・フォル・ジュルネのイメージから生まれた作品です。
 次のブロックは『花』。今年1月に開催したグループ展に出品した作品に新作を加えての展示です。ガ ラス絵による花は、しっとり感が前面に出て、ガラス絵のモチーフとしては最適なもののようです。
 最後のブロックは『抽象』。白やブルーを基調にした作品群は、そのにじみ具合や色の重なり具合が、 以前オイルパステルで試みた抽象表現とは違った質感が魅力的です。
 小山まさえさんの3つの世界をゆっくり楽しんでいただければ幸いです。
( 2014.4.15 )



ヒラタヒロヒコ展 来場者投票結果

 
 今回のヒラタヒロヒコ展では、来場した方々にお気に入りの作品を2つ選んでいただく来場者投票を 行いました。ご協力いただいた方々にこの場を借りてお礼申し上げます。会期後半まで「激励ミラー」と 「銘刀フレンドリー」が均衡状態でしたが、最終的には「激励ミラー」が第1位となりました。以下、ベスト 3の発表です。

激励ミラー 第1位「激励ミラー」 得票率25%

「鏡よ鏡よ鏡さん、世の中で一番・・・?」
励ましの声を掛けて欲しいと望んでいる人がいかに多いことか。
圧倒的に女性に人気がありました。
銘刀フレンドリー 第2位「銘刀フレンドリー」 得票率21%

DM図版に使用したこともあり会期前半得票数を伸ばしましたが・・・。
あのクネクネ感が何とも言えません。
図版と実際の作品とのギャップが人気を呼びました。
観賞用時計 第3位「観賞用時計」 得票率13%

時々止まってしまった砂時計でしたが、
静かに砂が落下する様を
じっと佇んで眺めているお客様がたくさんいました。
( 2014.4.1 )



ヒラタヒロヒコ展

 
  画廊が西堀にあった頃、画廊前の路面にヒラタボックスなるものを設置し、『月刊ヒラタヒロヒコ』 という2005年10月から2006年9月までの1年間、月に1作ずつ展示する企画を行ったことがあります。当時 は、フェルトと革などの素材で「空想的な衣類等」を通じてナンセンスアートを展開していました。その 器用さに感心しながら、毎月楽しみに観ていました。あれから8年程を経て、本当に久しぶりにヒラタ さんの個展を開催します。
  この数年、その素材は木や金属へと変わりましたが、その根っこの表現部分は相変わらずヒラタワー ルドを展開しています。素材を変えた理由を尋ねると、かつて使っていたフェルトにはない木や金属の 持つ素材感を大事にした作品作りをしてみたくなったという返事が返ってきました。来場して下さる方々 が、どの作品にどのような反応を見せるのか、会場で楽しみに見守りたいと思います。また、来場者に よる作品の人気投票を行う予定です。ご協力いただければ幸いです。会期は3月21日(金・祝)から30日(日) までです。皆様のご来場を心よりお待ちしております。
( 2014.3.21 )
 『月刊ヒラタヒロヒコ』 詳細⇒Information


梅 佳代展開場式に行ってきました

 
 3月14日(金)、県立万代島美術館の梅 佳代展開場式に行ってきました。梅 佳代さんは1981年石川県生まれで、 2007年に弱冠26歳にして「第32回木村伊兵衛写真賞」を受賞した新進気鋭の写真家ですが、私の情報アン テナのはりかたが悪いせいか、その存在を知らず、今回初めて作品を拝見しました。
 展示は、「1 男子」「2 女子中学生」「3 シャッターチャンス Part1」「4 能登」「5 じいちゃま」「6 シャッ ターチャンス Part2」の6セクション、大小595点が展示されています。2000年から2002年に作家自身も 10代後半に撮影した「男子」「女子中学生」は、若い感性が被写体とともに呼応しあい、きらめいています。 非常にインパクトのある作品群だと思います。会場を何往復かしてみましたが、この最初の2つのセクシ ョン以上のものはありません。これからどこへ向かう梅佳代・・・という思いで会場をあとにしました。
( 2014.3.14 )



たおやかな器:飯碗

 
 今年の冬は、雪国新潟には珍しく、特に平野部では少雪の冬でした。春はすぐそこまで来ている といった感じです。新たな器で春を迎えてみてはどうかという思いで、5名の作家による飯碗の特集 を企画してみました。120点程を展示販売致します。出品する5人の作家を簡単にご紹介します。
 押味久美子さん(新潟)は、東北芸術工科大学で陶芸を学んだ後、新潟に戻って新潟市秋葉区で『萌 陶房』を構え、作陶しています。今年の10月には当画廊での個展予定もあります。磁器に水彩風の絵 付け彩色が特徴的です。
 同じく、現在新潟で作陶する後藤奈々さんは、京都での修行や笠間での製陶所勤務の後、地元新潟 に戻り独立しました。巧みな技術で仕上げたシンプルな器が並びます。
 次の3人は、当画廊2階『Kaede 器』の常設作家ですが、今回の展示用に新作を依頼しました。
 鈴木宏美さん(益子)は、横浜生まれで笠間の製陶所に勤務(この時、先の後藤奈々さんとは同僚でし た)のかたわら、笠間窯業指導所を修了後、地元横浜を経て益子に移り現在に至ります。時の移ろいを 感じさせるような肌合いとモダンな絵付けが魅力です。
 田代倫章(としふみ)さん(益子)は、宮崎生まれで、奈良芸術短期大学陶芸科を卒業後、益子の今成 誠一氏に師事、2007年に益子で独立し現在に至ります。昨年から取り扱いを始めましたが、その器は スタイリッシュで、その肌合いも深みのある魅力的なものです。
 樽見 浩さん(山形・南陽)は、東京生まれで文化学院陶磁科を卒業、笠間の製陶所に勤務後、1998年 山形県南陽市に築窯、独立して現在に至ります。樽見さんといえば織部。今回は、織部の作品だけで なく、益子で仲間と共同で焚いた薪窯の作品もあります。存在感のある飯碗です。
 会期は、3月7日(金)から3月16日(日)までです。皆様のお越しをお待ちしています。
( 2014.3.7 )
 
 

有元利夫×田中陽子展-静と動の人物像

 
 今年も有元利夫の版画作品を展示致します。今回は、5年前に急逝した木版画家田中陽子の作品とあわせ、 二人展という形で、2月21日(金)から3月2日(日)までの会期で開催します。
 有元利夫の版画作品の魅力は、その時々のひらめきによって銅版に直接描いた素描的魅力にあります。 まろやかな線描といったらいいのでしょうか、静かでおだやかな雰囲気を画面に醸し出します。タブローで おなじみの画題アルルカンを描いた作品など、銅版画集『雲の誕生』からモノクローム銅版画8点とカラー リトグラフ『コケット』、カラー銅版画『無題』の計10点を展示致します。
 田中陽子は、80年代後半から90年代にかけて、マチス風の色彩と躍動感溢れる描画のダンスシリーズで 人気を博しました。その後、1995年に第1回川上澄生木版画大賞展で大賞を受賞し、その人物像はトルソの ような半抽象表現へと変わっていきます。今回は、『バレリーナ』『The Dance』『あこがれの陽』『とわ に 男女』など7点で、その流れをご覧いただきます。
 二人の作家の静と動の人物像をお楽しみ下さい。
( 2014.2.21 )
 
 

新年のご挨拶と『花の彩り2014:女性作家5名による』

 
 明けましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願い申し上げます。

 今年最初の展覧会は、1月10日(金)から1月19日(日)までの会期で『花の彩り2014:女性作家5名による』を開催します。 今年は、平面作品だけでなく、陶器や漆蒔絵までジャンルを広げにぎやかに開催します。見所をご紹介します。
 小山まさえさんと弦巻理江さんはガラス絵で花を表現します。 小山さんの作品は、身近な花をこれこそガラス絵とい うようなオーソドックスな手法の作品と、ガラスを二重に配置し立体的に仕上げた作品など7点を展示致します。弦巻さん のガラス絵は、「りんごの花」や「いちごの花」など、今回は実のなる花をモチーフに6点の出品です。どれも大胆な配置かつ 色鮮やかな作品に仕上がっています。
 坪井麻衣子さんは油彩画で、花と鳥などの組み合わせで女性らしいファンタジックな世界を醸し出しています。新作油 彩画5点を展示致します。
 漆蒔絵の佐藤裕美さんは、普段は仏壇などの蒔絵の仕事をしながら制作をしている作家です。イラストの仕事もしてい ます。髪留めなど小さな世界の中に伝統的な蒔絵やイラスト風の蒔絵をお楽しみ下さい。
 以上の4名は新潟の作家で、陶器の鈴木宏美さんは栃木県益子から参加します。漆喰壁を思わせる肌合いの陶に椿やもみ じなどの絵付けをしたマグカップなど普段使いの器30点程を展示致します。
 新春のひととき、画廊内に咲き乱れる花々をお楽しみいただければ幸いです。
( 2014.1.7 )
 
 

今年も1年有難うございました

 
 今年も当画廊をご愛顧いただき誠に有難うございました。
 平成25年は、当画廊にとってちょっとした転換期の年となりました。私にとっての楓画廊3大ニュースをまとめてみました。

第1位 美術館等で取り扱い作家の白木ゆりと長島 充の作品展示が出来たこと
 白木ゆりは、新収蔵作品展という形で新潟県立万代島美術館『新潟の日本画100年』(10月26日~12月1日)の中で、 「Sonic(A)(B)(C)」と「Sound-40」の大型銅版画4点と銅版画集『SONIC・・・1992~2005』が紹介されました。
 長島 充は、水の駅ビュー福島潟5階企画展示室で『長島 充展-日本の野鳥』(11月29日~12月23日)が開催され、 野鳥シリーズ50点が紹介されました。

第2位 開廊13周年記念展として開催した『Artist's Books:美術としての本』が大変好評だったこと
 数年温めてきた企画が9人の新潟在住若手作家の協力により実現しました。来場者数も非常に多く、大好評の展覧会 となりました。

第3位 当画廊初の陶器による個展『鈴木宏美陶展』が開催出来たこと
 3月に益子の若手作家鈴木宏美さんの個展を開催しました。当画廊で初めての陶器による個展であるだけでなく、 鈴木さんにとっても初個展でした。
( 2013.12.29 )
 
 

長島充展「日本の野鳥」(水の駅ビュー福島潟5階企画展示室)と画廊個展「神話と伝説」

 
 11月29日(金)の午前中、翌日から開催される長島充展「日本の野鳥」の展示作業を手伝わせていただき、 4、5名の館のスタッフの方々ともども午前中に無事終了しました。
 ビュー福島潟5階企画展示室は、円形の展示スペースが二重になっていて、中央のメインスペースと その外周を回廊のように巡るスペースからなっています。メインスペースには、木版画の大作「輝く朝 (マガン)」を中央に配置し、その左右両側に多色刷りの板目木版画をそれぞれ5、6点ずつ春から冬への イメージで配置しました。外周のスペースには、木口木版画のモノクローム作品、単色刷りの板目木版 画、手彩色銅版画と版種別に展示しました。それぞれの鳥たちへの作家の温かな眼差しと、背景を彩る 風景などの絵作りをゆっくりご覧いただけたらと願っています。
 また、1階ショップでは、展覧会場に展示してある50点の中から、フクロウをモチーフにした新作木口 木版画小品4点と人気作品6点をセレクトし販売しています。あわせてご利用いただければ幸いです。
 12月7日(土)から始まる画廊個展は、「神話と伝説」シリーズから20点程を展示致します。これまでも グループ展等で紹介してきましたが、まとまった展示は2002年の個展以来となります。長島さんの生み出 す鳥獣や幻獣が神話の語り手となり、幻想的な世界を醸し出します。こちらも、板目木版画、木口木版画、 銅版画と種々の版種で表現されています。2階『Kaede 器』の壁面には、野鳥シリーズ7点も併設展示致し ます。会期は12月21日(土)までです。今年最後の企画展をなります。是非多くの方々にいただければと 思います。

水の駅ビュー福島潟5階企画展示室 展示風景
展示風景1 展示風景2 展示風景3
展示風景4 展示風景5 展示風景6
展示風景7 展示風景8 展示風景9
( 2013.12.7 )
 
 

開廊13周年記念展『Artist's Books:美術としての本』と美術館等での展示のお知らせ

 

 当画廊は来る11月3日で開廊13周年を迎えます。日頃からの皆様のご愛顧に感謝申し上げます。
 今年の開廊記念展は、9人の作家による本をテーマにした展覧会『Artist's Books:美術としての本』 を開催致します。この数年温めてきた企画です。それぞれの作家が本という形態に込めた思いを手に取 ってご覧いただければ幸いです。
 また、この秋、美術館等で白木ゆり、長島 充の作品展示が行われます。あわせてご覧下さい。詳細は 下記の通りです。

■ 特別展示 白木ゆり(平成23・24年度新収蔵作品)
 所蔵品展「新潟の日本画100年」
 新潟県立万代島美術館(新潟市中央区万代島5-1 万代島ビル5F)
 2013年10月26日(土)~12月1日(日) 休館日 11/11(月) 11/25(月)
 開館時間 10:00-18:00
 観覧料 一般 310円 大学・高校生 150円 中学生以下無料
備考:Sonic(A)(B)(C)とSound-40の大型作品4点と銅版画集『SONIC・・・1992~2005』(2005年当画廊 より刊行)が展示されています

■ 長島 充版画展(企画協力)
 長島 充版画展-日本の野鳥-
 水の駅「ビュー福島潟」5階企画展示室(新潟市北区前新田乙493)
 2013年11月30日(土)~12月23日(月・祝) 休館日 12/2(月) 12/9(月) 12/16(月)
 開館時間 9:00-17:00
 観覧料 一般 400円 小中高生 200円 未就学児無料
 備考:1階ショップにて一部作品の展示販売も行いますのでご利用下さい

( 2013.11.1 )
 

近藤達雄作品展「花、女、夜-その3」

 

 近藤達雄さんは、長年、美術専門学校の教師として後進の育成をしながら、絵画技法書の執筆やバルテュス研究をしてきました。「花、女、夜」と題した2年に1度の個展も今回が第3回展となります。
 近藤さんは、いろいろな場面で長い付き合いのある人々をモデルにして人物像を描きます。普段の何気ないやり取りの積み重ねの中から、そのモデルとなる人の性質や心の動きをつかみ取り、独特の雰囲気の人物像に仕上げます。もちろん技量の高さは言うまでもありませんが、今流行りのスーパーリアリズム絵画とは異なる人間くささを感じずにはいられません。
 一方、花は3D画像を観るような思いです。花芯や花びら一枚一枚を意識的にそう描くことによって、3D的なテクニックを模索しているようです。人物に対する時とは異なる近藤さんのもう1つの視点を垣間見ることが出来ます。
 今回は、専門学校時代の教え子など若きアーティスト3名をゲスト作家という形で2階展示室にて作品を展示します。漆蒔絵の佐藤裕美、写真の石塚一歩、球体関節人形の荒井英の3作家です。

( 2013.10.1 )

風景への視点Ⅲ-坪井麻衣子新作を中心に

 

 今回紹介する坪井麻衣子は、1979年新潟市生まれで2007年に東京藝術大学大学院を修了した新進気鋭の作家です。「心の小さな揺れ」をテーマに、日常目にする風景をパステルトーンの色調で心象風景として画面に切り取ります。その背景には、作家にとっての原風景である新潟の風景、特に海を見つめる視点が強力にインプットされているようです。凪いだ夜の海のはるか彼方ににじんで見える灯火。砂丘の高台から見渡す眼下の街並みと水平線。新潟に生まれ育った人にとっては、どこかでかつて見たことのある風景-既視感-を、坪井麻衣子というフィルターを通して追体験します。現在横浜で暮らす作家にとって、離れているからこそわいてくる豊かなイメージを憧憬の念で描いた作品群を是非ご覧下さい。
 ギャラリーコレクションも展示致します。展示作品は、大貫真寿美「Cloud No.14」(木版画)、杉原伸子「つむじ風」(日本画)、瀧谷美香「工場地帯」(ドローイング)、中村一征「山」(日本画)、宮崎文子「まち」(ドローイング)、好宮佐知子「五月の思い出」(フレスコ画)の6点です。あわせてお楽しみ下さい。会期は9月23日(月・祝)までです。

( 2013.9.13 )

Summer Selection 2013

 

 『具象と抽象の間(はざま)』をテーマに、今夏のセレクション展を7月13日(土)まで開催します。今回は普段取り扱いのない作家を中心にドローイングや版画、陶器を15点程展示致します。推薦作品を数点ご紹介します。
 DMに使用した宗宮 肇のパステル画『無題』はちょうど1年程前に知人から譲り受けたもの。溯ること数年前に画像を見せてもらって気に入っていた作品で、ようやく私の手元に来ました。一見稚拙な描き方に見えますが、画面から垣間見える作家の若い活力と空間の作り方で生み出される奥行き感が魅力の作品です。作家の略歴を見ると、1975年広島県生まれ、1993年に上京し独学で絵を学んだようです。3年後の1996年に東京で初個展。この作品は、その後2002年東京での個展の際に発表されたもののようです。
 もう1点平面作品をご紹介します。赤塚祐二の銅版画『hana #4』は、アクアチントとエッチングの併用作品で、具象的な表現をしているわけではありませんが、モノトーンの濃淡だけで存在感のある作品世界を作っています。見飽きない作品です。本来、赤塚祐二はタブロー作家ですが、特に90年代『hana』のシリーズを初め、多くの銅版画作品を制作しています。その中からの1点です。
 陶器からも1点ご紹介します。真木未波の『大徳利』(写真)は6,7年前ある陶器店で一目ぼれして買い求めた作品です。立ち上げ方といい、釉の加減といい、その当時30歳になるかならないかという年若い作家の仕事としては目を見張るものがあります。陶器ファンなら必見です!
  今回の出展作品は次の通りです。
  ①宗宮 肇「無題」パステル画
  ②赤塚祐二「hana #4」銅版画(アクアチント、エッチング)
  ③谷口聡子「Fountainhead」銅版画(エッチング、アクアチント)
  ④安部直人「水棲譚Ⅱ」銅版画(アクアチント、エッチング)
  ⑤木下恵介「Marks-Lines-4.1.1」(ソフトグラウンドエッチング)
  ⑥高橋 洋「雨ふたつ」木版画
  ⑦H.Tsatsinov「LIVE X3」木口木版画
  ⑧樋口広一郎「無題」日本画(板に岩絵具)
  ⑨清水 伸「無題」ドローイング(紙に染料)
  ⑩村田 森「青白磁小丼」陶器
  ⑪真木未波「大徳利」陶器
  ⑫真木弘姫「飯碗」陶器

( 2013.7.1 )

Figures by prints

 

 当画廊の人物像シリーズは、開廊5周年記念特別展として2006年1月に開催した油彩画と日本画による『10人の人物像展』、2011年11月に開催した油彩画と版画、彫刻による『特別展 人物像8の視点』に続き、今回がその第3弾となります。今回は、5人の作家の版画による人物像展です。出展作家は、大下百華(木版画)、小林裕児(銅版画、コラグラフ)、作田富幸(銅版画)、田中陽子(木版画)、釣谷幸輝(銅版画)で、各作家3点ずつ計15点での展観です。それぞれの作品の見所を簡単にご紹介します。
 大下百華の木版画作品は、同サイズ(420×270mm)の連作「赤い扉」「mind flower」「はじまりの時」の3点。赤、青、黄色を背景に、大胆かつよ躍動的な彫りが魅力的な作品です。小林裕児の作品は、かつてタブローのモチーフによく用いられた「舟と人」。小品ながら絶妙なバランスのカラー銅版画です。他に、カラー銅版画による「服を着て眠る人」とコラグラフによるルオー風の「悲しい男」を展示します。作田富幸の銅版画作品は、ユトレヒトシリーズから「Utrecht-girl」「a hole in my heart」。作家が在外研修先で目にした古い建物を人物に見立てて制作した連作からのモノクローム作品2点です。もう1点は点描風の銅版画をベースに手彩色で色を加えて幻想的な仕上がりの「Tears on face」です。田中陽子(故人)の木版画作品は今回是が非でも展示したかった作品です。ダンスシリーズから、青と黒という渋いト-ンの初期作品「バレリーナ」、華やかに昇華された時期の「あこがれの陽」の2点と、晩年のトルソを2体並べて描いた「とわに 男女」を展示します。釣谷幸輝の銅版画は、中世風にアイロニカルな世界を描いた初期の縦長作品の連作から「お椀のサカナ」「予感」の2点に、面を有効に使って女性の肢体を描いた「女」を展示します。
 近作だけでなく古い作品までさかのぼって、それぞれの作家の魅力を伝えられるようこの展覧会を構成しました。会期も通常より長めで、6月8日(土)から6月22日(土)までです。是非ご覧下さい。

( 2013.6.5 )

ミュシャ展開場式に行ってきました

 

 6月1日(土)から新潟県立万代島美術館で始まるミュシャ展-パリの夢 モラヴィアの祈り-の開場式に行って来た。主催者の紹介およびテープカットの後、1時間あまりをかけてゆっくりと展覧会を拝見した。
 会場には、アール・ヌーヴォー様式の大小のカラーリトグラフを中心に、素描や油彩画5つのセクションに分けて展示されている。特に目を引いたのは、並べて展示されている「花に囲まれた女性:春」(1916年)と「花に囲まれた理想郷の二人」(1920年頃)の2点の油彩画。いわゆる古典技法による幻想絵画と異なった趣きの幻想世界を醸し出している。後で略歴で調べてみると、ミュシャ50代半ばから60代前半にかけての作品。時代は第一次世界大戦の真っ只中。同時期に『スラヴ叙事詩』という大作の連作に取り組み、完成をみていることが分かった。ミュシャにとってアール・ヌーヴォー様式のリトグラフが商業的に成功した光の部分とすれば、『スラヴ叙事詩』は陰の部分と言えようか。画家として油の乗った50代、第一次世界大戦という時代背景、スラヴ民族としての祖国愛と誇りや迫害、この連作が生み出された背景には種々の様相が含まれている。この連作は資料として会場の一角でプロジェクターで見ることが出来る。ミュシャにこうした側面の画業があったことは、勉強不足で今回初めて知った。
 会期は8月11日(日)までのロングラン。改めてもう一度ゆっくり観に行きたいと思っている。

( 2013.5.31 )

コレクションへの誘い-Spring Sale

 

 5月17日(金)より春のセールを開催します。6人の作家の木版画16点をセレクトしお届けします。また、今回はアートブックセールも同時開催します。
 出品作家と主な作品をご紹介します。井上 厚の「LIFE 2」は背景をグリーンの濃淡で作り上げ、犬とねこの形を象徴的に配置し落ち着いた雰囲気の静物画的仕上がりの作品。大貫真寿美の「Cloud No.14」は今年1月の新作個展で発表された作品で、淡い黄土色の単色で水辺の風景を描いたもの。坂本恭子の「moment tour-bread」は小品ながら、作家独特の画面配置で描かれた心象風景。長島 充の「軽鴨・幼鳥」は木口木版の黒と白で四羽のカルガモが愛らしく描かれ、作家の野鳥シリーズの中でも人気の作品。古谷博子の「夜の雨」は紫色の濃淡で作った画面を背景に、果物のような球形が落下する絵柄で夜のしじまを表現した作品。涌田利之の「Exlibirs チャコとバラ」は直径11cmほどの楕円形の木口木版の中に、犬を中心にバラをあしらった細密描写による小宇宙。いずれもお勧めの作品ばかりです。
 アートブックセールには35冊ほどの図録や美術関連書籍をご用意しました。中古本を中心に200円から3,000円の価格帯です。今回のお勧めのベスト5は次の5冊です。

 ①谷川俊太郎「旅」香月泰男(1968年求龍堂刊) 谷川俊太郎の詩に香月泰男の素描が添えられた特装本
 ②コーヒー園に雨が降る マナブ間部自伝画文集(1994年日本経済新聞社刊) ブラジルに渡って活動した作家の記録集(ハードカバー装)
 ③版画藝術59号(1988年阿部出版刊) 小林敬生木口木版画(状態良好)付き
 ④原色日本の美術13 障屏画(1997年小学館刊 改訂第三版) 有名な屏風画を多数掲載
 ⑤リール市美術館所蔵 バロック・ロココ絵画展図録 1993年三越美術館(新宿)から全国4ヶ所の巡回展

 開催は5月26日(日)までです。皆様のご来廊をお待ちしています。

( 2013.5.15 )

たおやかな器Ⅴ-お茶の時間

 

 今年初めての北区葛塚のスペースでの展覧会です。『お茶の時間』をテーマに湯呑みやカップ類を50点程展示即売します。出品作家は、<Kaede 器>の常設展示でも紹介している鈴木宏美(栃木県益子)と樽見 浩(山形県南陽)に新たに田代倫章(栃木県益子)を加えて3人の器を紹介します。
 鈴木宏美さんの器は、漆喰壁を思わせるやや黄色味がかったシンプルなものから、市松模様やしのぎを施したものまで数種類のタイプを、樽見 浩さんの器は、定番の織部の湯呑みを展示します。新たに紹介する田代倫章さんの器は、焼〆の作品でセンスのよい造形美が魅力的です。先日窯出しをしたばかりの最新作15点程を展示します。
 今年の春先の気候は、日々の寒暖差が激しすぎて体調を崩された方も多いのではないでしょうか。穏やかな暖かな日が待ち遠しいです。5月の連休中は遠出を楽しみながら是非北区葛塚の楓画廊へお越し下さい。JR豊栄駅前から福島潟周辺へ200円で1日乗り放題の巡回バスが5月6日(月)まで運行しています。画廊へお越しのついでに、福島潟の菜の花畑、雪の少し残る二王子連山を映す福島潟周辺の散策をお楽しみいただければ幸いです。(先日、地元商工会が発行した散策マップも画廊にご用意してあります。)

( 2013.5.1 )

今年のラ・フォル・ジュルネは・・・

 

 翌週27日(土)はラ・フォル・ジュルネ新潟へ。今年のテーマは『モーツァルト』。軽やかな音が次から次へ繰り出される印象が強く、モーツァルトの曲は日頃は好んで聴かないのだが、折角の機会なのでその中でもやや重めの曲のプログラムの演奏会を選んで2つのコンサートを聴いた。トリオ・ヴァンダラーの女性ヴィオラ奏者ジェヌヴィエーヴ・シュトロッセを迎えてのピアノ四重奏曲2曲(音楽文化会館)。トリオ・ヴァンダラーは以前にもラ・フォル・ジュルネに登場した際に聴いたことがあるが、相変わらず一糸乱れぬ演奏で安心して聴けた。その後、りゅーとぴあコンサートホールに移動し、女性指揮者イプ・ウィンシー指揮の香港シンフォニエッタと清水和音(ピアノ)の共演で「ピアノ協奏曲24番  ハ短調 K.491」を聴いた。清水和音の繊細なピアノとその背後で彩りを添えるオーケストラの非常に丁寧な演奏を好感を持って聴いた。
 今回で4回目になる新潟開催で毎年2,3のコンサートを聴いているが、年々集客が減少しているような気がする。聴いた2つともキャパの4割程しか埋まらないというのはどんなものだろうか。

( 2013.4.28 )

弦楽三重奏によるギャラリーコンサート

 

 20日(土)午後7時から杉原伸子新作展会場でギャラリーコンサートを開催しました。今回は、作家杉原伸子さんとそのご家族も一緒に、佐々木友子(ヴァイオリン、ヴィオラ)×庄司 愛(ヴァイオリン)×渋谷陽子(チェロ)の弦楽三重奏を堪能しました。この3人による演奏も今回で3回目で、演奏内容はいつもお任せなのですが、毎回いろいろと趣向を凝らしたプログラム構成で楽しませてくれます。息の合った演奏はとてもリラックスした気分にさせてくれます。
 今回、プログラム中ほどで佐々木さんと庄司さんの二人で演奏されたプロコフィエフ作曲の「2つのヴァイオリンのためのソナタop.56 全4楽章」は不思議な構成でかつ演奏家泣かせの難曲。あえてこの場で挑戦してみたとのこと。三重奏でシベリウスの小品「カノン」を挟み、最後はモーツァルト作曲の「ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのためのディヴェルティメント」で軽やかに締めくくってくれました。
 6月8日(土)午後7時から、この3人の演奏家に廣川妙子さん(ヴァイオリン)に加わっていただき、『弦楽四重奏の夕べ』を開催します。日頃から活動しているクワルテットの演奏会です。只今予約受け中です。

( 2013.4.21 )

杉原伸子新作展

 

 4月19日(金)から4月29日(月・祝)まで、杉原伸子さんの3年ぶりの新作個展を開催します。今回は50号1点、20号3点、その他小品11点、計15点での展観です。
 今回の新作は、DMにした「風わたるかたち」のように深いグリーンやブルーの色調で、具体的な山や森などの風景と、抽象的な表現で「音楽」をテーマにした2つ作品群で構成されています。全体的にこれまでの軽やかさが消え、重厚感が出てきたようです。作家本人の弁では、「この4、5年の作風とそれ以前の作風とを行ったり来たり、試行錯誤をしています」とのこと。
 杉原さんは、ここが東京都かと疑いたくなるほど豊かな山や川といった自然に囲まれた青梅で暮らし制作しています。(直接訪ねたことがなく、テレビでの映像でしか私も知らないのですが)そんな環境の中で、日々目にする風景やその気配、音といったものを杉原さん自身のフィルターを通し、今までも多くの作品が生み出されてきました。ただこれまでと違うのは、対象が近景から遠景へと視点が大きく移り変わっていることです。ゆったりと遠くを眺められる心のゆとりが出来た表れでしょうか。先に届いた小品11点をそんな思いで眺めました。
 新作15点による杉原伸子の世界を是非ご覧下さい。

( 2013.4.18 )

常設展-春をテーマにした作品8点+鈴木宏美の器

 

 4月5日(金)から14日(日)までの金曜、土曜、日曜のみの営業で、常設展を開催しました。春をテーマにした油彩画、日本画、版画に加え、前半は先日までの鈴木宏美陶展の展示をそのまま、後半はアレンジして展示しました。6日(土)にお見えになったお客様は、壁に絵が掛かるとやはり雰囲気が変わりますね、という弁。翌7日(日)は春の大嵐。さすがにこんな強風の日には誰も来ないだろうと思いきや、午前中に、いつも来られるTさんが。その後、風の音を聞きながら鈴木宏美陶展の搬出作業を行い、終了した頃にNさんが来られたので休憩し、しばらく話をする。鈴木さんの器を数点お買い求めいただく。夕方には先日知り合った青年も。
 後半の12日(金)から14日(日)までの会期は、外の花見客の喧騒とは逆に画廊は静かなもの。お客様のいない時間は、2階の棚や物置を整理したり、12日に発売された村上春樹の新刊を読んで過ごした次第です。

  

( 2013.4.14 )

鈴木宏美陶展

 

 3月31日(日)まで鈴木宏美陶展を開催中です。当画廊初の陶器による個展です。普段使いの器、花器など約150点を展示販売致します。
 鈴木さんの器との出合いは、3年前の秋、益子のある陶器店でした。土の温もりと時の移ろいを感じさせるその肌合いに一目で気に入り買い求めました。その時の陶器店の方の話によると、つい最近展示したばかりの作品とのことで、まさに出合いでした。当時、そんな内容の話をホームページに掲載したところ、鈴木さん本人の眼にとまり、連絡をいただきお付き合いが始まったという次第です。昨年2月には画廊の推薦作家を紹介するグループ展にも出品してもらいました。
 この3年程の間に、鈴木さんの器をいろいろなお客様にお買い求めいただきました。そんなお客様のお一方から鈴木さんの器を使った際の感想をいただきましたので、その文章から抜粋してご紹介します。

 温かみのあるやや黄色がかった粉引き、長い時を経た漆喰壁のような肌の器であった。料理を盛ったときには、模様や生地が勝ちすぎているとおいしく見えない。鈴木宏美の抑えた表現は、どんな料理にも合いそうな予感がして手に取ってみた。(中略)
 早速、片口の平鉢には漬物を入れてみた。菜っ葉が上品な一品に見える。煮物を入れてもまたよい。苺の赤と緑の葉も新鮮に映る。湯呑みも煎茶が粉引きの肌と相まっておいしそうに見える。市松模様がモダンに見える。

 ■ 常設展-春をイメージした平面作品7点と鈴木宏美の器
 会期:2013年4月5日(金)から4月14日(日)まで 会期中4/8(月)9(火)10(水)11(木)休廊
 (注意)今回は上記会期のうち金曜、土曜、日曜のみの開廊です。
      営業時間は通常通り、午前11時から午後6時までです。
 会場:Kaede Gallery+full moon
 展示内容:春をイメージした井上厚の木版画2点、大石洋次郎の油彩画2点、清水美三子のドローイング2点に好宮佐知子のフレスコ画1点、計7点に、引き続き鈴木宏美の器をセレクトして展示します。

( 2013.3.22 )

コレクターの眼差し

 

 3月9日(土)より17日(日)まで、『コクレクターの眼差し:N氏のコレクションより』を開催します。
 所謂、サラリーマンコレクターという人々は全国津々浦々にあまたいます。それぞれ限られた資金の中で、自分にとって心地よい作品をこつこつとコレクションしています。今回、ご協力いただきN氏もそんな中の一人です。
 N氏のコレクションの仕方は特定の作家に限るものではなく、有名無名を問わず自分の眼にかなったものを蒐集しています。蒐集歴は約20年といったところでしょうか。N氏の作品蒐集のポイントは、「抽象表現の中にも具体的な形が見え隠れするもの」ということです。これも長年いろいろな作品を自分自身の眼で確かめ培ってきた経験から出てきた言葉です。
 今日作品搬入があり、1点1点確認させてもらいました。購入履歴をたどると草間弥生「夕映えの雨」(シルクスクリーン)が一番古く1992年。そこから他の出品作13点の購入履歴を時系列に並べてみると、少しずつ具象度が高まってきているようです。数日後、展示作業をする予定でいますが、どんな配置をしたらいいか悩みそうです。どんな雰囲気の空間が作れるか展示作業を楽しみに行いたいと思います。
 今回は作品販売はありません。入場は無料ですので、多くの方々にひとりのコレクターの視点を、それぞれの眼で確かめて欲しいと思っています。ご来廊をお待ちしています。

( 2013.3.3 )
  ■ 全出品作
   ①草間弥生「夕映えの雨」(シルクスクリーン)
   ②滝波重人「94-P-7」(油彩)
   ③赤塚祐二「Untiteld」(リトグラフ)
   ④R.クートラス「カルト」
   ⑤村上友晴「無題」(ドローイング)
   ⑥棚谷勲「無題」(エッチング)
   ⑦長沢明「Color piece」(日本画)
   ⑧栗田宏「作品」(油彩)
   ⑨原陽子「揮発したもの#4」(油彩)
   ⑩大畑博嗣「無題」(水彩)
   ⑪森本秀樹「眠る街」(油彩)
   ⑫藤原祥「光の花」(水彩)
   ⑬森敬子「月明」(油彩)
   ⑭和田ときわ「はるの地」(リトグラフ)

 

花の彩り2013:新潟の作家5名による

 

 昨年までほぼ毎年この時季に開催してきた『花・華・はな3人展』から、今年は『花の彩り』へと出品していただく作家数を拡大して開催することにしました。当画廊ではおなじみの作家小山まさえ、弦巻理江、中村一征の3名に、柏 政光、坪井麻衣子という新たな作家2名を加えて、様々なジャンルの花をご覧いただこうという趣向です。
 それぞれの作家、作品の魅力をお伝えしましょう。
 イラストボードにアクリルガッシュで描く柏 政光の「自己主張の強い花」連作2点は、作家が得意とするモチーフである猫を黒色で象徴的に描き、それとは対照的に一見毒々しい色鮮やかな花が画面上を踊ります。小山まさえの出品作では「白雪けしと都わすれ」が落ち着いた雰囲気を醸し出しています。ブルーの背景に白い花がパステルで絶妙な配置で描かれています。今回が当画廊への初出品となる坪井麻衣子は新潟市出身で、東京を中心に発表している油彩画家です。直径30cmの円形キャンバスに描がかれた「あの日」は、一面に花を散らしたような女性的な作品で、展示した瞬間に画廊の雰囲気がぱっと変わりました。弦巻理江はガラス絵でのチューリップの連作による出品です。中でも「チューリップ(未来)」は、春の陽光のきらめきが待ち遠しくなるように小さい作品ながら輝いています。最後に、日本画家の中村一征は今回初めてガラス絵で出品しています。赤茶の文様を背景に白系の絵具で蘭の形を描く連作4点の出品です。背景が効果的に活き、蘭の白い形が全面に浮き出てとても魅力的です。
 以上5名の作家による27点の作品を展示しています。まだまだ寒い日が続いていますが、多くの方々にご覧いただければ幸いです。

( 2013.2.21 )

 

 

有元利夫 銅版画の魅力

 

 2月11日(月・祝)まで『有元利夫 版画の世界:雲の誕生』を開催中です。今展では、未発表銅版画を集めて2002年に刊行された銅版画集『雲の誕生』28点の中から14点を、1981年刊行の『有元利夫作品集』から「コケット」(リトグラフ)、1991年刊行の『有元利夫全作品集』から「無題」(カラーエッチング)の2点を展示販売致します。また、賛助作品として「遊戯」(1983年 リトグラフ)、「或る予感」(1983年 リトグラフ)、「三人の少女より」(1983年 エッチング)の3点も併せてご覧いただきます。
 有元利夫は1980年から1983年にかけて「NOTE-BOOK」という4冊の銅版画集を自分自身の装丁で発表しました。それぞれの作品は掌にのるような小品で構成されています。今回ご覧いただく『雲の誕生』もその流れをくむもので、有元の世界観を十二分に伝えるものです。その魅力の1つは、一瞬の感性で版の上に線描された人物像にあります。有元特有のまろやかな線がそこかしこに見られます。素描の延長上に位置づけられるのかもしれませんが、鉛筆の線とは異なるシャープな線に魅了されます。もう1つは、いわゆる銅版画作品として描きこまれた作品群の数々。DMに使用した裸婦(版画集リスト#15)をはじめ、タブローでも好んで描かれたアルルカンをモチーフにした作品(版画集リスト#7,#11,#20)は、それぞれが有元利夫の絵画世界を雄弁に語っています。
 今回の『雲の誕生』展示作品14点の詳細は、ホームページ上の現在開催中の展覧会告知をご覧下さい。

  

( 2013,1,26 )

 

 

新年のご挨拶

 

 明けましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願い申し上げます。

 おかげさまで当画廊は昨年11月、開廊12周年を迎えることが出来ました。これまで支えて下さった皆様方にあらためてこの場を借りてお礼申し上げます。
 12年という一区切りが終り、次の12年より内容を充実させ安定した運営をしていきたいと思っています。とにかく自分がいいと思うものだけを厳選して皆様にご覧いただきたいという思いをあらためて強くしています。

 今年最初の展覧会は、開廊当初より繰り返し個展を開催してきた大貫真寿美さんの新作展です。新作木版画『さじ加減』シリーズに水彩画を加えて展観致します。また、1月後半からは、新潟市美術館で開催される『有元利夫展』に連動する形で、『有元利夫 版画の世界』を企画しました。有元利夫が亡くなった後、2002年に未発表銅版画を集めて発売された銅版画集『雲の誕生』から15点程を展示販売致します。カラーリトグラフ(非買)も5,6点ご覧いただく予定です。尚、会期中ギャラリーコンサートも開催致しますのであわせてお楽しみいただければ幸いです。

 ■ 大貫真寿美新作展
 会期:2013年1月11日(金)から1月20日(日)まで 会期中1/16(水)休廊
 ■ 有元利夫 版画の世界
 会期:2013年1月26日(土)から2月11日(月・祝)まで 会期中1/30(水)2/6(水)休廊

( 2013.1.1 )

 

 

今年も1年有難うございました。

 

 冬期休廊のお知らせ:12月26日(水)から1月10日(木)まで楓画廊、Kaede Gallery+full moonとも休廊致します。
 今年も1年間当画廊をご愛顧たまわり誠に有難うございました。
 大変厳しい1年でしたが、無事それぞれの企画展を終了することが出来ました。
 2013年もよろしくお願い致します。
 冬期休廊明け1月11日(金)から大貫真寿美さんの新作版画による企画展を開催します。

 

 

弦巻理江ガラス絵展 Flowers

 

 4年ぶりの弦巻理江さんの個展を開催中です。初日から今日(12/9)までは強風、大雪と連日のあいにくの天気でお客様の数もまばらながらも、足を運び作品をご予約下さる方がいるのには感謝に堪えません。初日朝一番に画廊が開くのを待っていて下さったお客様もいました。
 今回は、花をテーマにしたガラス絵をお願いしました。「チューリップ」などおなじみの花からあまりなじみのない花まで21点が並んでいます。「花」をテーマにと言われたとき、弦巻さんは困ったなあと思ったそうです。花は描いたことはないし、花そのものがあまり好きではないというのです。11月の初めに今回の出品作11点を届けに訪れた際の彼女の弁ですが、作品を観てびっくりです。とてもいいんです。その後話を聞くと、困ったなあと始めたものの、制作していくうちにとても楽しくなって夢中で描いたというのです。色使いといい迷いのない大胆なデフォルメが魅力です。
 会期は12月16日(日)までで、当画廊今年最後の展示となります。天気が少し落ち着いてくれるのを願いつつ、たくさんの方々にご覧いただければと思っています。

( 2012.12.9 )

 

 

佐渡の秋を詰めました

 

 12周年記念展『矢尾板克則×中村一征展』が無事終り、搬出が済んで帰ろうとしたところへ電話が鳴った。追加の作品予約かと思いいそいそ出てみると、佐渡の画家水津さんから食事の誘いの電話だった。しばらくゆっくり話をしていなかったので、最近の作品制作のこともいろいろ聞きたいと思い会うことにした。
 来月12月11日(火)から24日(月)までギャラリー万代島で行う個展出品作のことや、今後の展開など水津さんの今の思いを聞かせてもらった。佐渡の原生林への畏敬の念、そしてそれをいかに自分の絵としてファンタジックな世界へと仕上げていくか。画家としての一貫した思いが伝わってきた。今回の個展DMに使用した作品はそういう意味でも一見の価値がある。
 今晩の夜行で東京へ向かうという水津さんが、帰り際に面白いものを見せてくれた。明日の絵画教室でスケッチの題材として使うというもの。A4判ほどのプラスチック容器に佐渡の森の落ち葉やきのこが色鮮やかに敷き詰められていた。一枚の絵画を見るようだった。
 来秋、新作版画(木口木版)を入れ、当画廊での4回目の個展開催の約束をして別れた。

( 2012.11.18 )

 

 

楓画廊開廊12周年記念 矢尾板克則×中村一征展

 

 当画廊は11月3日、開廊12周年を迎えます。日頃からの皆様のご愛顧に心より感謝申し上げます。
 13年目最初の展覧会は、矢尾板克則×中村一征展を11月18日(日)まで開催します。同世代の二人の作家が長年交流する中でそれぞれの作品を認め合い、二人展をやってみたいという両者の思いを受けとめる形で、今回開廊記念展として開催することに致しました。
 この二人の作家を語る上で欠かせないキーワードは『絵肌』と『フォルム』。陶芸の矢尾板さんは、ものが風化していく過程での色の変化や剥落などを陶と釉という手法で器にとどまらず立体へと果敢に挑戦し続けている作家です。陶の壁面に表れる肌あいと全体に醸し出されるフォルムがとても魅力的です。今回はこの数年取り組んでいる板(棒)状のパーツを組み合わせて立体化する、より造形性が求められる作品で会場を飾ります。一方、日本画の中村さんは、和紙ボードに岩絵具を何層にも塗り重ね独特の絵肌を作り出した上で、その上に「かたち」を描く手法で自分自身の絵画世界を確立してきました。今回は昨年の個展で発表した「灯火器」シリーズの延長上にある、作家自身が気に入った器のかたちを写しとった「器物」の作品で会場を飾ります。
 陶立体と日本画という異なるジャンルながら、同世代の二人の作家が醸し出す時間は、同じような時間軸でゆったりと動いているような気がします。会場では、二人の作り出す造形が時には重なり合い、時には反発しあう世界をご覧いただけたらと思っています。

 *お知らせ
  11月3日より Kaede Gallery+full moonの2階展示室を陶器の常設ギャラリー『Kaede 器』として営業致します。
 カップ、皿、飯碗や鉢などの日常使いの器を常時展示販売致します。併せてご利用下さい。

( 2012.11.1 )

 

 

佐藤公平「黒陶」展(新発田市五十公野御茶屋)

 

 秋晴れの午後、新発田市五十公野御茶屋で今日から始まった佐藤公平「黒陶」展を訪ねた。
 初めて訪ねる場所でなかなか分からず右往左往したが、行き着いた五十公野御茶屋は古くからの住宅地の一角に突如現れた。回遊式の日本庭園を備えた静かなたたずまいの日本家屋。砂利を踏み踏み入り口まで進み、靴を脱ぎ受付で記帳を済ませ先に進むと、畳敷きの部屋の先に開放された日本庭園が目に飛び込んできた。佐藤公平さんの作品は、窓際の一角や床の間にひっそりと佇んでいた。自然光の中、吹き込むそよ風と外の緑の借景とともに。
 今回の展示は、佐藤公平さん自身が行ったということを担当学芸員の小見さんから伺った。近年の作品19点での構成。それぞれの作品が大きく主張はしないが、もとからそこに置かれていたかのような佇まいがとても好ましい。外の景色を背景に窓際に組み合わせて置かれた「still life」という作品がとても印象に残った。

 

( 2012.10.2 )

 

 

好宮佐知子展 十二ヶ月

 

 10月5日(金)から14日(日)まで好宮佐知子展を開催します。
 十二ヶ月というサブタイトル通り、この1年間好宮さんが日常生活や旅先で感じた季節感や風景を、作家の眼と心というフィルターを通し形になった心象風景12点の連作による展観です。
 好宮さんの技法は、自分で作ったやや厚みのあるパネルに寒冷紗をはり、その上に白亜地を塗り支持体を作ります。主に鉛筆、ガッシュで描画していきます。透明感のある穏やかな色彩が好宮作品の特徴です。元々は、壁画の手法を勉強してきた作家です。その手法を取り入れ、いかに自分自身が求める色合いを出すか追求してきた結果行き着いた技法なのだと思います。
 この連作は「午後(9月)」という小品から始まります。夏の日差しの名残と秋の気配を感じさせる作品です。「季節のアーチ(2月)」は室内に差し込む短くも暖かな日差しを捉えて作品。「西方の裾野-2(4月)」は桜の季節、朦朧とした空の彼方に見える山並みのイメージ。「夏の道-2(8月)」は夏空をふと見上げた時、透き通るような青空とともに視覚に残った残像を印象的に捉えた作品です。12点の中から各季節の気になる作品を簡単に紹介してみました。
 今回の展覧会は、『月刊ギャラリー』10月号の展覧会とアーティストというページに1ページに渡って紹介されています。その中から好宮さんの言葉を2つ。
 「実際に目にして心に残ったことを記憶に留め、それを思い出しながら描いています。
 光が煌めいたり、道を光と影が交差していたり、コントラストの強い光景に興味をもっています」
 「表現する事とは何か、ということよりも、鑑賞者それぞれが持っている世界を通じて、静かな世界を感じてもらいたい」図版3点とともに紹介されていますので、興味ある方は是非ご覧になってみて下さい。

( 2012.10.3 )

 

 

水の記憶:吉原悠博映像プロジェクト+コレクション展(新潟県立近代美術館)

 

 本当に久しぶりに長岡の県立近代美術館を訪ねた。開催中の吉原悠博の映像作品と、新収蔵された白木ゆり作品を観ることが目的。
 吉原悠博の映像は「さくら」と「新川史眼」の2作品。「さくら」は新発田城址の桜を様々なアングルから捉え編集した作品。新発田城という悠久の舞台で毎年一定の期間繰り返される『生の営み』をみごとに捉えた作品。「新川史眼」と交互に3回観た。その時々に自分自身の観ている視点が変わるせいか、何度観ても新たな発見がある。
 一方、「新川史眼」は作家の制作意図がクレジットで初めに明確に提示され、現在の新川の流れを10ヶ所程の地点で様々な時間帯で捉え編集した作品。以前一度観たことのある作品で、その時にも深く感心したのだが、異なる時間帯の光と水面のきらめきを魅力的の捉えている。
 ただ残念なことが1つ。「さくら」と「新川史眼」を併設したことによって、「さくら」を観る際に隣の「新川史眼」の音響がもれて来て「さくら」の背景音楽が台無しになってしまっていた点。利点も1つ。仕切りの真中に立つと、同じサイズのスクリーンに映し出された2つの映像が同時に楽しめた点。
 コレクション展では近代美術館の名品を観た後、目的の『現代美術/入門』へ。新収蔵された白木ゆり作品4点のうち1点「Sonic(B)」が偶然にもゲルハルト・リヒターの作品と隣り合わせに展示されていた。(数年前に開催された東京国立近代美術館の所蔵品展でも白木ゆり作品とリヒターの作品が同室に展示されたことがあった)今後、所蔵品展等で白木ゆり作品が繰り返し展示され、より多くの方々に観ていただければと願っている。

( 2012.9.2 )

 

 

Bandai Jazz Festival 2012

 

 新潟の夏の風物詩となった感のある万代ジャズフェスティバルも今年で14回目。この不景気のせいか出演組数を
減らしての開催となったが、開演時間前から会場周辺では関連イベントを開催するなど新たな工夫が見られた。
 数年前から三条市出身のTOKUがこのフェスティバルのプロデューサーを務めはじめてから注目の新人が1組紹介されるようになり、新たな楽しみが増えた。今年紹介されたのはMaya Hatch(vo.)。プロフィールには1985年アメリカ、ワシントン州シアトル市生まれとある。日本人の母とアメリカ人の父の元に生まれたハーフのボーカリスト。その小柄な体から出るキュートなボイスに会場は魅了された。
 圧巻だったのは、SALT+TOKU+GEN(TOKUBAND)のユニット。ピアノ、フュルゲルホーン、パーカッションと3人によるボーカルという変わった編成ながら、このユニットの完成度は抜群。奏でられる音もさることながら、SALT(塩屋 哲 pf)とGEN(大儀見 元 per)の漫才のかけあいのような二人の話が会場を盛上げた。間に立つTOKUもたじたじで無言。途中で塩屋編曲によるAKB48の「ヘビーローテーション」が飛び出すなど会場をおおいに沸かせた。
 他に初出演の地元バンドRiverside Jazz Bandと毎年トリを飾るSWING BROTHERS BIGBAND。

( 2012.8.4 )

 

 

白木ゆり-奏でる線

 

 6月17日(日)まで『特別展 白木ゆり-奏でる線』を開催中です。
 今回は、2000年から2003年まで制作されたSoundシリーズの30番台から90番台の中から15点をセレクトし、銅版画集『SONIC 1992~2005』(2005年当画廊より刊行)とともにご覧いただきます。
 この時期は時を前後して、現代日本美術展での「和歌山県立近代美術館賞」受賞('99)、青島国際版画ビ エンナーレ(中華人民共和国)での「奨励賞」受賞('00)等受賞が相次ぎ、加えては東京国立近代美術館への 作品収蔵も行われました。白木さんの線描の世界が花開き、認め始められた時期と重なります。
 縁あって当画廊では2001年に初めて個展を開催し、その後は2年に1度のペースで新作展を開催してきま した。2005年には念願だった銅版画集も刊行することが出来、10年余り白木作品の変遷を目の当たりに出 来たのはとても幸運なことでした。
 またこの度、同時期の作品4点が新潟県立近代美術館へも収蔵されました。いろいろな人々とのつながり や縁を感じずにはいられません。このような経緯もあり、豊かな音を奏でる白木さんの線描の世界-Sound シリーズ-を今一度展観してみようというのが今回の展覧会です。是非ご覧下さい。  

お知らせ

 今年度、新潟県立近代美術館に収蔵された白木ゆりさんの作品が公開されます。

 コレクション展 第2期 現代美術/入門
 新潟県立近代美術館(長岡) 展示室3
 会期:2012年6月28日(木)~9月2日(日)

( 2012.6.8)

 

 

風景への視点:タブロー・ドローイングによる

 

 5月の連休はいかがお過ごしでしたか。天候の移り変わりが激しく、後半はあいにくの天気でしたが・・・。小山まさえ展の後、画廊の方は休みをいただき、画廊内の整理や5月、6月の展覧会準備をしていました。
 5月11日(金)から始まる『風景への視点』は、タブローとドローイングによる展観で、ギャラリーコレクション+新作で構成しています。いくつかの見所をご紹介します。
 コレクションの中では、杉原伸子の日本画「もり」と瀧谷美香の油彩画「交錯」。前者は8年程前の個展発表作で、ブルーとグリーンを基調にした深遠なる作品。後者は、作家の初個展(10年前)での発表作。技術的にはやや未熟な部分もあるのは否めませんが、夜の光を作家独特の視点で見事に捉えた作品です。
 新作では、新潟出身でパリ在住の画家林 信雄のパリ風景と新潟近郊を描いた油彩画3点。小山まさえの先頃の個展発表作2点をご覧いただきます。林 信雄の油彩画は、面を多様する手法で描いたパリ風景とオーソドックスな描き方の新潟近郊風景が対照的。確実な筆致で自己の世界を表現しています。小山まさえの作品は、独特の視点が魅力的で、何気ない風景が作家のフィルターを通して新たな物語を含んだ絵画へと昇華されています。
 5月連休の天気がづれ込み、しばらく5月の清々しい日が続きそうです。5月20日(日)までの会期です。
 是非足をお運び下さい。

( 2012.5.8 )

 

 

今年もラ・フォルネ・ジュルネ新潟へ

 

 今年も4月27日(金)から29日(日)までラ・フォルネ・ジュルネ新潟が開催された。今回で3回目の開催となるが、年々有料公演数が縮小されている。果たして来年は開催されるのだろうか。
 今年は28日(土)夜の2公演だけを聴いた。
 りゅーとぴあ劇場でのアンリ・ドマルケット(チェロ)とアンドレイ・コロベイニコフ(ピアノ)の演奏。チャイコフスキーの小品を3曲、メインはラフマニノフ『チェロソナタ ト短調 op.19』。第3楽章のあの幽玄なメロディーはあまりにも切ない美しさをたたえている。そこに到るまでのチェロとピアノが対等に闘うような曲想は、一連のピアノ協奏曲にも見られるラフマニノフ特有のもの。甘さに流されないいい演奏だった。拍手の鳴り止まない観客に応えてラ・フォルネ・ジュルネ公演には珍しいアンコール演奏もあった。
 りゅーとぴあホールに移動して、アレクサンドル・ルーディン指揮のムジカ・ヴィーヴァの演奏でチャイコフスキー『交響曲第6番「悲愴」』を聴く。10代後半に初めて生のオーケストラで聴いた時には、こんな音楽もあるんだと衝撃を受けた曲。久しぶりに聴くこともあり、楽しみにしていたのだが・・・。ロシアから来たまだ歴史の浅い室内オーケストラということもあるが、弦楽パートの音の厚みがなく、管楽器パ-トとのバランスも悪かった。ストレスの残る演奏。残念な気持ちでホールをあとにした。

( 2012.4.29 )

 

 

小山まさえ展:私の紡ぐ物語Ⅱ-シンプルライフ

 

 4月21日(土)から30日(月・祝)まで小山まさえ展を開催します。
 小山さんは、これまでも2年に1度のペースで当画廊で個展を開催してきました。2010年には抽象作品を中心に、2008年には版画展と、その時その時に興味ある表現に真摯に取り組み発表して来ました。今回は、2006年に開催した個展『私の紡ぐものがたり』の続編として開催します。シンプルライフというサブタイトルが示すように、小山さんの周辺の日常生活の何気ない風景を作家独特の視点で捉えた油彩画、アクリル画13点での展観です。小山さんの絵画は、人としての視点はもとより、鳥や他の動物のような視点で俯瞰した構成に独特なものがあります。使われる色彩とともに軽やかな気分にさせてくれる作品群です。1点1点にさりげない物語があります。それぞれの作品と向かい合って、観る側からも自分自身の物語を紡ぎだしてもらえたらと願っています。

( 2012.4.17 )

 

 

駒井哲郎展(新潟市美術館)と異国憧憬(県立万代島美術館)

 

 12日(木)、画廊の休みを利用して2つの美術展を観に行って来た。
 新潟市美術館で開催中の『駒井哲郎1920-1976-銅版画で刻む夢と現実-』を観て、駒井版画に対する自分自身の勉強不足を痛感した。駒井哲郎の版画と言えば、サンドペーパーによるエッチング作品のイメージが強く、ここまで多岐にわたるとは知らなかった。三岸節子風のモノタイプの花の作品など、作家が辿った時代背景や同時代の作家に影響されつつ自身の作風が定まらない苦悩すら感じてしまった。駒井哲郎は一体どんな絵作りを目指していたのだろうかと思いながら美術館をあとにした。
 県立万代島美術館の『異国憧憬-あこがれの風景-』は、所蔵品によるテーマ展。「ヨーロッパの風景と人々の暮らし」「アジア、中南米、アフリカの風景と人々の暮らし」、「まだ見ぬ地と過去へのあこがれ」の3部構成。最後の第3部はやや息切れの感があったが、見応えのある展示だった。中でも目に引く作品が最後に待っていた。高村真夫「春日野」という作品。1911年制作とあるのでちょうど100年前の作品ということになる。状態の良好な油彩作品で、題材は日本画風で大和的のものと西洋絵画的手法による風景画の融合というとても印象的な作品で、初めて観るものだった。もう1点は以前にも観て印象に残っていた作品、八田哲の「夜のカテドラル」。横山操らで構成された「横の会」のメンバーの一人。大胆な筆致で描かれた日本画ながら詩情溢れる作品。何度観ても見入ってしまう。これからもこのようにテーマを決めた所蔵品展を続けていって欲しいと願っている。

( 2012.4.12 )

 

 

たおやかな器Ⅲ:飯碗

 

 2010年11月開廊10周年を機に始めたこのシリーズも今回で第3回展となります。今回は『飯碗』を特集します。
出品作家は鈴木宏美、長谷川奈津、松田洋子、村田森、矢尾板克則の5名で、25点程を展示販売致します。
また、各作家の関連作品も併せて展示致します。
 今年は2、3月と寒い日が続き、春気分にさせてくれる桜開花にはまだ時間がかかりそうですが、春は新生活の始まりの季節、新たな器をお手元にお届けしたいという思いの企画です。画廊周辺の桜を楽しみながら、是非足をお運び下さい。 

( 2012.4.4 )

 

 

まなびやに託されたメッセージ展(新潟市北区郷土博物館)

 

 新潟市北区郷土博物館で開催中の『まなびやに託されたメッセージ展』を観に行ってきた。今回、北区内の小・中学校に所蔵される作品の調査が行われ、その結果報告も兼ねた所蔵作品展。企画担当者は以前新潟市美術館にいた学芸員の神田直子さん。
 北区は旧豊栄市と旧新潟市の松浜地区で構成され、日本海、阿賀野川、福島潟等の水辺と田園地帯に囲まれた自然豊かな地域。今回展示されている作品の軸をなすものは、この地域に根ざした風景を切り取った作品群。中でも、版画家石田朝美さんの「潟あけぼの」(新潟市立光晴中学校蔵)は横190cmのシルクスクリーンによる大作。
福島潟の風景を斬新かつセンス溢れる切り取り方をしている。
 展示作品のもう一つの軸は、作家自身の絵画世界をこれから世の中に出て行く子どもたちに託したもの。私の身近な作家の作品の中から紹介する。北條佐江子さんの「゛大地の詩゛より 太陽を追って」(市立濁川小学校蔵)は、毎日これを目にする子どもたちがどんな想像を膨らませるのだろうかと思わせる作品。3月半ば、偶然北條さんに長岡で会い、この展示のことを知らされたのだが、濁川小学校にはこのシリーズの連作4点が所蔵されているとのこと。4点一緒に観たかった。旧豊栄市出身の美術家長沢 明さんの「国国数英」(市立葛塚中学校蔵)は、長沢さんが初期作品で試みていた古い本を砕いて再集成して画面構成する手法によるもの。やや小ぶりな作品で、そのメッセージ性が伝わりづらいのが残念。松浜出身(現在住)の近藤 充さんの「雲湧キ立ツ」(市立松浜中学校蔵)は男女の若人2人を配したこの作家特有の意匠を凝らした絵画作品。巣立っていく子どもたちへの思いが垣間見える。
 会期は5月13日(日)まで。新潟市北区郷土博物館(新潟市北区嘉山3452 TEL 025-386-1081)で。
 当画廊の企画展『たおやかな器Ⅲ』と合わせてどうぞ。

( 2012.4.1 )

 

 

長島 充展『日本の野鳥』

 

 3月25日(日)まで長島 充展『日本の野鳥』を開催中です。木口木版画、銅版画によるこのシリーズから 20点をセレクトして展示しています。
 長島さんとの付き合いは長く、2002年に個展を開催してもらってから10年になります。その間、様々な 当画廊のグループ展に出品してもらい、個展は今回が2回目となります。10年という歳月の何と早いことか。 当初は、幻想版画による個展を予定していたのですが、それは別の機会にし、今回は長島さんのたっての 希望もあり、長島さんがこの10数年取り組んでいる『日本の野鳥』シリーズによる展示としました。そうい えば、10年前の個展開催時にも作品ファイルでこのシリーズの初期作品を拝見した記憶があります。その 前後10数年で作品は約80作に達するとのこと。この機会にそのごく一部ですがご覧いただきたいと思います。
 個展『日本の野鳥』に寄せた長島さんの文章を一部ご紹介します。

 私が野鳥観察を始めて36年、版画制作を初めて32年の歳月が経った。版画家としてよりも バーダー(野鳥観察者)としてのキャリアの方が長いということになる。そしていつの日か、 この両者を一つの形にしようと願い続けて来た。
 南北に長い日本列島は野生鳥類の宝庫である。南西諸島の亜熱帯林には希少種のヤンバル クイナやノグチゲラなど生息し、北海道の湿原にはタンチョウが舞う。しかしこうした種だ けが日本の野鳥というわけではない。もっと人々の生活圏のごく近く、里山、里海にも野鳥 たちは生息している。

( 中 略 )

 この野鳥たちをモチーフに作品制作する場合、私が最も重要視していることはその生息環境 のことだ。やはり自然の中で生きる生物は、鳥に限らず彼等がせいいっぱい生きている環境の 中で見る姿がもっとも美しい。鳥が立っている足元の草木、飛んでいる背景の風景、その空気、 空・・・、絵作りや技術的なことよりも、この点を常に忘れないことを一番の基本としている。
 私は、ライフワークとして、日本人の原風景の中に生息する野鳥たちの姿を版画の中に定着 し続けて行きたい。

( 2012.3.16 )

 

 

初めておじゃました2つのギャラリー

 

 3月8日(木)、胎内市(旧中条町)にある大和物産ギャラリーに大津正則展を観に行って来た。日頃は陶器の展 覧会を主にやっているギャラリーとのこと。店の奥まったところにあるギャラリーはとても落ち着いた雰囲気 のあるスペースだった。今回の大津さんのテーマは「花」。黒い背景に削りだすように描かれる椿などの小品に、 この数年取り組んでいるテラコッタによる人物像という構成。テラコッタ作品に以前には観られなかった動き が出てきたのが印象的。
 今日12日(月)は長岡のギャラリーmu-anへ。開廊して5年経つギャラリーだが、なかなか伺えず今回が初めて の訪問となった。川の流れる外の景色と、外光が心地よく入ってくる白い空間。岡谷敦魚版画展を拝見した。 岡谷さんの作品を観るのは何と11年ぶり。縁あって、2001年の春、開廊半年ばかりの頃に個展を開催してもら って以来となる。作品は、その頃の雰囲気も残しつつ、版表現に真摯に取り組んでいる様子が伺え嬉しい気持 ちとともに、月日の経つ早さをかみしめた。おいしいコーヒーをいただきならがオーナーの立見さんらと話が 弾みつい長居をしてしまった。 

( 2012.3.12 )

 

 

弦楽三重奏コンサート

 

 連日降りしきる雪がひと休みした2月11日(土・祝)の夜、佐々木友子(Vl,Va)さん、庄司 愛(Vl)さん、渋谷陽子(Vc)さんをお迎えして弦楽三重奏コンサート開催しました。中には家族5人でご参加下さったお客様もいました。お集まりいただいた20数名の方々にはこの場を借りてお礼申し上げます。
 非常に寒い日でしたが、コンサートはとてもホットなもので充実した内容でした。コンサートは佐々木さん と庄司さんのデュオ演奏で始まり、メインはシューベルト「トリオ D471 B dur」。途中、庄司さんと渋谷さ んのヴァイオリンとチェロのデュオ演奏によるハルヴォルセン「パッサカリア」。この曲は、昨年7月開催した ギャラリーコンサートでも佐々木さんと庄司さんのヴィオラとヴァイオリンの演奏で聴いたのですが、演奏 される楽器が変わることでこれほど趣きが変わるものかと新たな発見をしながら聴き入りました。もうひとつ 新鮮な感動は、三重奏によるバッハ「無伴奏チェロ組曲第6番から サラバンド」の演奏。これは言わずと知れた チェロの古典中の古典。チェロ以外にはギターによる演奏を聴いたことがありましたが、今回のような三重奏 による演奏は初めて。例えれば、チェロ1台の演奏が『モノクローム』だとすれば、この三重奏は『カラー』、 曲そのものに色が加わったような印象を受けました。
 演奏終了後、出演していただいた方々とNさんご夫妻、私とで食事をしながら音楽談義。とても温かな気持 ちの夜を過ごすことが出来ました。 

( 2012.2.12 )

 

 

セッション2012:2画廊の推薦作家による

 

 画廊フルムーンのスペース運営を引き継ぎ、Kaede Gallery+full moonをスタートしてからもうじき1年になります。 それぞれの推薦作家を出し合って合同展をやりましょうと提案したところ、画廊フルムーンの越野さんも快く引き受け て下さり、今回の『セッション2012』が実現しました。推薦作家それぞれについて簡単にご紹介します。
 まずは画廊フルムーンの推薦作家から。蓮池ももさんは画廊フルムーンで個展を積み重ねてきた新潟市在住の作家 です。その作品はイラスト的なものから徐々に作家の内面に潜む心理的な作品に変化して来ました。早川 昌さんは長 岡市在住の作家で活動歴はかなり長いのですが、画廊フルムーンでの発表は今回が初めてとなります。力の抜けた表現 が身上の作家です。
 当画廊からは3名の推薦作家を紹介します。コイズミアヤさんは縁あって東京から長岡市に移り住んだ立体造形の作家 です。自己の内面世界を箱庭や家といった立体で表現しています。当画廊への出品は約8年ぶりです。鈴木宏美さんは 益子で作陶する新人作家です。これまでも『たおやかな器』という展覧会で紹介して来ました。時の移ろいを感じさせ る何とも言えない質感の器を生み出します。今回は新作50点程が並ぶ予定です。ヤマクラコウジさんは三条市在住の写 真作家です。独自の視点でモノクロームの世界を切り取って見せます。新作7点を展示予定です。
 今年の冬も大雪になりましたが、少し天候が落ち着いてくれればと願いつつ。皆様のお越しをお待ちしています。

( 2012.2.7 )

 

 

特集展示 涌田利之-木口木版画の小宇宙

 

 2月5日(日)まで『特集展示 涌田利之-木口木版画の小宇宙』を開催中です。今回は、涌田さんの90年代後半から近作まで15点をセレクトしての展示です。
 木口木版画の魅力は、木の様々な輪の形の中に、ビュランで細かな線描がなされ、一つの小さな世界が描かれるところにあります。線が命の版画と言っても過言ではありません。それゆえにそれぞれの作家特有の線が生まれます。涌田さんの線は、繊細で動きのある線と言えるでしょう。
 モノクロームの世界ですが、その中に作家が好んで用いるモチーフや風景が垣間見え、微笑んだり、懐かしい気持ちにさせられることと思います。とにかく小さな画面の中に盛りだくさんな世界が表現されます。
まさに小宇宙そのものです。
 一番寒い季節ですが、皆様のご来廊をお待ちしております。

( 2012.1.27 )

 

 

新年のご挨拶

 

 新年明けましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願い申し上げます。

 昨年は3月11日の大震災以降、激動の一年となりました。一人一人がそれぞれの思いで日々の生活の大切さや 人とのつながりの大切さを再認識した一年だったと思います。暮れの報道特集で流れる映像を繰り返し見る中で、 この惨状を決して忘れてはいけないのだという思いを新たにしました。自分には何も出来ないという気持ちから 自分には何が出来るのだろうかという気持ちに変わってきたのもようやく最近になってからです。
 昨年12月の展覧会開催時に、2年程前からお付き合いいただいているお客様のKさんが被災地大船渡市から訪ね て来て下さいました。生存情報でご無事であることは確認していましたが、今回お会いして話をしているうちに 自分の心の中の何かが解け出し温かな気持ちになっていきました。今回はお会いできないだろうという思いで 案内を差し上げていたこともあり、お会い出来ただけでこちらが反対に励まされてしまいました。

 当画廊は今年も花をテーマにした『花・華・はな3人展 '12』(会期 1/13~22)でスタートします。新潟在住・ 出身日本画家、杉原伸子、中村一征、渡辺富栄による3人展です。
 昨年同様、楓画廊(北区葛塚)とKaede Gallery+full moon(中央区東堀通)の二つのスペースで交互に展覧会を 開催してまいります。それぞれ8回程の企画展を予定しています。
 皆様とともに心豊かに過ごせる空間と時間を作れればと願っています。
 本年もご愛顧賜りますようお願い申し上げます。

2012年1月
楓画廊 三ツ井 伸一

( 2012.1.1)

 

 

笠原恒則チェンバロ・クリスマスコンサート+新潟大学管弦楽団定期演奏会

 

 17日は数日前からの寒波でこの季節にしてはかなり寒い一日になったが、晴れ間に恵まれ支障なく朝10時から チェンバロを搬入し、少し画廊内が暖まったところで笠原さんのリハーサルが始まった。お昼過ぎからヴァイオリ ニストの庄司 愛さんも加わりリハーサルは続いた。その間、画廊におみえになるお客様もなく、演奏は私が独り占め。
 寒い中15名程のお客様にお越しいただき、午後2時にコンサートはスタート。第1部は笠原さんのソロ。ルネサンス からロックまで400年を縦横無尽にというのが今回のプログラム。プログラム中盤で演奏された「死の舞踏 (サン=サーンス)」が、演奏前の曲の説明も功を奏し、演奏も変化に富んだもので楽しめた。第2部はヴァイオ リンの庄司 愛さんが入りデュオでの演奏。グノー「アヴェ・マリア」、ヘンデル「ヴァイオリンソナタ ト短調 op.1-10」などを演奏。プログラム最後に演奏されたコレルリ「ラ・フォリアの op.5-12」はかなりの難曲なが ら、チェンバロとヴァイオリンの二重奏を十分に楽しませてくれる曲だった。チェンバロの演奏を今回初めて 体験する方が多く、終わってからチェンバロを囲み、笠原さんに説明していただいた。それにしても昼間のコン サートはそれだけで贅沢な気分になるが、落ち着いたゆったりとした時間が流れた。
 夜は、この時期恒例の新潟大学管弦楽団の定期演奏会を聴きに、りゅーとぴあコンサートホールへ。ドヴォル ザークの「チェロ協奏曲 ロ短調 作品 104,B.191」とシベリウス「交響曲第1番 ホ短調 作品39」というプログ ラム。ドヴォルザークのチェロ協奏曲は『ドボコン』の通称で知られるようにあまりにポピューラーな曲。私も 今までに様々な演奏を聴いているせいか、オーケストラの演奏の盛り上がりに欠け、いまひとつまとまりのない 演奏といった印象。第2部のシベリウスは一転、かなり力の入った演奏。弦以外の管楽器や打楽器が大活躍する 作品。今回のプログラムのメインに据えただけあっていい演奏だった。
 寒い一日クラッシック三昧の一日だった。 

( 2011.12.17 )

 

 

作田富幸展:銅版画・ボックスアート・・・涙のわけ

 

 銅版画家作田富幸さんの3年ぶりの個展を開催中です。
 今回は、雁皮刷りの銅版画を厚さ1cm程のボードに貼りこみ、手彩色やコラージュを加えた作品18点に ボックスアート6点を加えての展示です。銅版画作品は箱額に入れられ、一見タブローに見える作品群です。 そのほとんどの作品から涙が流れています。3月の大震災はあまりに悲惨な状況で、心が震え、誰もが様々な ことを考えさせられた出来事でした。この未曾有の災害の様子は一生目に焼きついて離れないものになるはず です。作田さんがこのような作品に至った背景が少し分かります。本当の復興には10年以上の歳月がかかるで しょうが、被災した方々のいち早い心の復興を祈らずにはいられません。
 ボックスアート作品6点のうち4点は、銅版画にコラージュという手法を中心にしたもの、残り2点はテンペラ による描画を中心にしたものです。作田さんのボックスアート作品は、2009年開催した当画廊のグループ展 『Box Art 8人の小宇宙』に発表してもらった3点の作品からスタートしました。きっとはまるなと思って依頼 したのですが、仕上がってきた作品は作田ワールド全開で、本当に素晴らしいものでした。その後も作品を かなりの数制作したことを知り嬉しく思っています。今回のお勧めはなんと言っても「Crying in the sunset』 (写真)です。
 会期は12月18日(日)までですが、19日(月)、20日(火)も営業し展示をご覧いただきます。今年最後の展示と なります。

湖面II
( 2011.12.10 )

 

 

今年2回目の仙台フィル

 

 16日夜、仙台フィルの特別演奏会を聴きに行って来た。5月のラ・フォル・ジュルネ以来、今年2回目の新潟での 演奏会。今回は、小泉和裕指揮でオールベートーヴェンプログラム。エグモント序曲に始まり、あまり馴染みのない 交響曲第4番という第1部。第2部は交響曲第3番「皇帝」。
 演奏会場のりゅーとぴあコンサートホールはサントリーホールを縮小したようなアリーナ式の会場。オーケストラ を右斜め後ろから眺める座席を購入した。コンサートホールがいつもの眺めとはかなり違って見える。一番驚くのは、 指揮者の表情と息遣いが直接伝わってくるという醍醐味が味わえたこと。第2部の「皇帝」は一言で言うと非常にドラマ ティックな演奏。繊細な強弱を巧みなオーケストレーションで極上の演奏に仕上げていた。これだけで聴きに来て よかったと思った。終了後の観客の拍手にもそれは表れていた。

( 2011.10.16 )

 

 

コレクションへの誘い2011:Autumn Sale

 

 今秋の『コレクションへの誘い』は井上 厚×大貫真寿美×坂本恭子の木版画3人展という形で開催します。
それぞれこの数年の作品の中から6点ずつセレクトし、18点で展観します。
 見所をご紹介します。
 井上 厚さんの作品は、彫刻刀での彫りのない木版画です。型紙等を用いてプレス機で刷るタイプの木版画で、画面の背景に板目を効果的に用い刷りあげます。今回の出品作の中でお勧めは「月の舟」。深い緑色で描かれた丘の上にぽっかりと舟の形をしたうす緑色の月が浮かぶ、ほのぼのと叙情的な作品です。この他、今年の5月の個展時に発表された新作「LIFE WITH A DOG」シリーズも再度ご覧いただく予定です。
 大貫真寿美さんの作品は、彫刻刀による彫りとラッカーなどを用いて部分的に絵具をとばす手法を用いています。その併用で画面に独特な光を表現しています。刷りは井上さんと同様、プレス機で行われます。今回の出品作の中でお勧めは「湖面Ⅱ」。光できらきらと輝く湖面に舟の舳先だけが描かれ、おだやかな風景の中にも何か暗示的なものが感じられます。
 坂本恭子さんの作品は彫りとバレン刷りによる伝統的な手法によるもの。シャープな絵の構成と古典的の配色で、現代的な心象風景を描き出します。そういう意味でも今回の出品作の中で「a flock」は秀逸です。
 おだやかな秋の一日、三者三様の木版画の世界をお楽しみいただき、是非コレクションに加えていただければと願っています。会期は10月25日(火)までです。

( 2011.10.11 )

 

 

信田俊郎展(新潟市豊栄地区公民館展示室)

 

  豊栄地区公民館展示室で開催中の信田俊郎展を観に行って来た。
  数年前まで取り組んでいた「光の場所」シリーズの大作2点に、新作「絵画 No.4~No.6」の3点を加えての展観。今年4月、当画廊での個展の際に発表された新作「絵画 No.1」には「森の村」というサブタイトルがつけられていた。そのタイトルに誘導される訳ではないが、その絵を見つめていると、自分の気持ちが中に入り込んでいけ、その先に目指す村が見えてくるような作品だった。信田さんの新境地を表現するもので、私はとても気にいっていた。これまでの「光の場所」シリーズに一区切りつけ、自分の中にあるより風景的なものを描きたいのだと信田さんはそのとき語ってくれたのだが。
  今回発表された新作3点は、矩形がより明確になり、画面に様々な動きが見られる反面、使われている色調は、寒色を中心にした構成(「絵画 No.4とNo.6)、「光の場所」シリーズでも使われた黄とオレンジの暖色を中心にした構成(「絵画 No.5」)。色調のみならず「絵画」シリーズで表現したいことを模索している様子が伺える。信田さんがこのシリーズを今後どのように展開していくのか、楽しみに見守っていきたいと思う。会期は10月2日(日)までです。

( 2011.9.24 )

 

 

ヤマクラコウジ写真展『発光』

 

  ヤマクラコウジ写真展を只今開催中です。今回が当画廊での初個展となります。
  『発光』と題したモノクロームの写真は、作家自身の独自のアングルで夜の人工的な光が織り成す 風景が切り取られ、一種の心象風景として作品化されています。16点を展示しています。
  夜の人工的な光を描いた作家というとすぐに思い浮かぶのが、アメリカの作家エドワード・ホッパー。 温かみのある白熱灯が象徴するように、のどかで心豊かな古きよき時代を表現した画家である。技術は 進歩し、蛍光灯そしてLEDへ。時代も何か白々とした殺伐とした世の中へ。どんな片田舎にも人工の光が 満ち溢れ、夜の闇というものがなくなった時代。そこに現代の人々はどんな風景を見出すのだろうか。 その中の一人として作家ヤマクラコウジがどんな視点で何を捉えようとしているのか、じっくり味わっ ていただけたらと思います。会場には、雑誌の各ページに写真でコラージュしたものも置いてあります ので、是非手に取ってご覧下さい。会期は9月25日(日)までです。

( 2011.9.16 )

 

 

夏はジャズの季節

 

  夏はジャズの季節。かつては夏になると大規模なジャズフェスが全国各地で開催されていたが、この 不景気でスポンサーがつかないせいもあり、すっかり姿を消してしまった。
  今年の夏は、野外コンサート、ホールコンサート、FMによるライブという3つを楽しんだ。野外コンサ -トは毎年8月の第1土曜日に開催される万代ジャズフェスティバル。近年はToku(Vo/Tp)がコンサートデ ィレクターを務め、充実したステージが繰り広げられている。今年は、2番目に登場したSPIRALと3番目に 登場の片倉真由子ピアノトリオが印象的。仙台から参加したSPIRALはギター、パーカッション、ボーカル のグループ。超技巧派のギターと澄んだボーカルが夕暮れ前の青空のもと気持ちよいステージを繰り広げ た。夕暮れが近づき登場した片倉真由子は今売り出し中のピアニスト。オーソドックスなピアノスタイル ながら気持ちのこもった好感の持てる演奏を繰り広げた。バックを務めた大坂昌彦(Ds)が冷静にサポート しながら、煽っている様子がライブならではの醍醐味。一昨年のステージに登場した復帰直後の大西順子 の演奏は凄かったなあなどと想いだしながら演奏を楽しんだ。
  ホールコンサートは、8月27日(この日は私の誕生日。ささやかな自分へのプレゼント)新発田市民文化 会館でのFEJEのステージ。ベーシスト安力川大樹が率いる9人編成のビックコンボ。ここでもドラムスは 大坂昌彦。他にトランペットの松島啓二など中堅プレイヤーが勢ぞろい。オリジナル曲中心の演奏だった が、今ひとつ堅苦しい。ライブスポットの熱気のある空間で聴きたいグループだった。
  FMによるライブは9月4日(日)東京JAZZ最終日昼の部、東京フォーラムからの生放送。ケニー・バロン(Pf) トリオ、クマガイカズノリ(タップダンス)×上原ひろみ(Pf)、セルジオ・メンデスのステージを聴いた。 ケニー・バロンは三位一体となった一糸乱れない完成されたトリオといった印象。タップダンスとピアノ のコラボレーションは放送でもしっかり音を拾い、素晴らしい即興演奏。実際にステージを観てみたいと 思わせた。セルジオ・メンデスはおなじみの曲を中心に若々しい華やかなステージ。ゆく夏の最高の贈り 物だった。

( 2011.9.5 )

 

 

瀧谷美香ドローイング展アフターセールのお知らせ

 

  今年の梅雨は短い期間にしっかりと雨を降らせ、例年より10日程早く梅雨明けをしたかとおもったら いきなりの猛暑、先の瀧谷美香ドローイング展はまさにその猛暑の期間と重なり、お客様も暑い日中は 避けて午前中や夕方にお越しなる方が多く、動きもいまひとつという感じでした。他のアクシデントが 重なったこともあり、見逃した方も多くいらっしゃることと思いますので、画廊の夏休みの一部期間を 利用してアフターセールをすることに致しました。先の展示に一部展示替えをし15点のドローイング作 品を展示致します。暑い最中ですが、是非ご覧いただければ幸いです。

( 2011.7.25 )

◇瀧谷美香ドローイング展アフターセール
開廊日時:7/31,8/7,14,21,28 各日曜日のみ 午前11時から午後5時まで
会  場:Kaede Gallery+full moon

 

 

瀧谷美香ドローイング展 ギャラリーコンサート

 

  8日夜、瀧谷美香ドローイング展のオープニング企画として、Kaede Gallery+full moonのスペースで 今回初めてギャラリーコンサートを開催した。庄司 愛さん、佐々木 友子さん、お二人のヴァイオリニスト にご出演いただいた。早くから予約を受け付けたこともあり、定員の30名を越える方々にお集まりいただき 盛況かつ楽しい一夜になった。当日は蒸し暑い夜であまりエアコンが効かない会場でお聴きいただくことに なり、ご迷惑をおかけしたことをここであらためてお詫び申し上げたい。
  演奏の方は、なじみのある小品を中心にヴァイオリンのデュオで。後半のプログラムでは、佐々木さんが 曲に応じてヴィオラに持ち替えての演奏。音に厚みが増して変化に富んだものとなった。最後に演奏された ハルヴォルセン「バッサカリア」は演奏手法が盛りだくさんの曲想に富んだ作品。なじみのない作曲家だっ たので、終演後、演奏してくれた庄司さんにお聞きしたところ、ハルヴォルセンは19世紀末から20世紀前半 に活躍したノルウェーの作曲家で、自身もヴァイオリニストとして活動したとのこと。曲の「バッサカリア」 はヘンデルの主題によるもの。
  今回の展覧会は、昨年10月の新作個展後に、一度ドローイングだけの個展をやってみようと作家に提案し 実現したもの。2006年からグループ展などに発表してきた鉛筆やペンによるモノクロームのドローイングに 新作を加えて18点での展観。この4,5年のモチーフの移り変わりが観てとれる展示となっているので、是非 ご覧いただきたい。

( 2011.7.10 )

 

 

作家村上春樹の肉声

 

  10日深夜のニュースで村上春樹氏の肉声を初めて聞いた。
  カタルーニャ国際賞(注:スペイン北東部のカタルーニャ自治州政府が人文科学分野で功績のある人物に贈る賞) 受賞挨拶を外電が伝えたもの。その作風から勝手にスマートな声としゃべりを想像していたが、意外にもだみ声 かつスピーチもうまくない。
  村上春樹のデビューは1979年、私がまだ大学生の頃だ。実際にその著作を読み始めたのは卒業してまもなく。
既に出ていた3部作「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」を読んだ。「世界の終りとハー ドボイルド・ワンダーランド』を新刊で読んだ時には、とてつもない作家が出てきた、将来はノーベル賞作家に なるだろうと予感したものだ。それ以降、新刊の単行本はもちろんのこと、小説誌や雑誌等に掲載される作品、 インタビュー記事等も出来るだけもらさず読み続けている。私の20代後半から30代半ば位までの悩みおおき時代(?!) にも、この作家が書き続けるなら自分もしっかりいき続けていこうなどと何度となく勇気をもらったものだ。   最近では、村上春樹氏の作家としてのプロ意識に非常に共感することが多い。自分の文体をどのように究めてい こうかという強い意志が、その近年の著作やインタビュー記事から垣間見られる。既にストリーテラーとしての氏 は日本人作家の中にあっては稀有な存在だと思うが、残された時間を計算しつつ、自分自身にとっての前へ前へ 進もうとしている姿がまぶしい。同列に述べるのもおこがましいのだが、私もプロのギャラリストとして目標とす る残り20年、自分の理想とするものに向かって究めていきたいと元気をもらう思いだ。
  それにしても残念に思うことが一つある。
  20数年前になるが、新宿紀伊国屋書店への途中で村上春樹氏に出会ったことがあるのだ。あの時、声をかけサイン をもらっておけばよかったと今でも後悔している。それにしてもすごいオーラだった。体の輪郭が二重にも三重にも 神々しく輝いて見えた。

( 2011.6.11 )

 

 

岩間 弘 彫刻展-星の住処、宙を行く、夜間飛行

 

  6月3日(金)から岩間弘彫刻展を開催中です。
  今回は町屋のギャラリーの中で岩間さんの作品がどんな輝きを放つのか、全体の雰囲気も含め 是非多くの方々にご覧いただきたいと願っています。
  2004年に岩間さんの作品と出合い、2005年、2008年と個展を重ねてきて、今回が3回目の個展 開催となります。今回は、「星の住処(すみか)」シリーズを中心に、「宙(そら)を行く」「夜間飛行」 などのタイトルの作品が並びます。それぞれの私のイメージは、『太古の生物が現代によみがえ ったような』というもの。ブロンズの溶接によるそのこなれた造形は、いつも私にワクワクドキ ドキ感を与えてくれます。今回は「星の住処」(DM作品)などの一部作品に金箔を用いるという新た な展開を見せてくれます。ブロンズの表面を磨いたり、熱の加え方で作品の肌合いに変化をつけて きた従来の手法に加え、新たな造形美が加わったように思います。壁掛けタイプの作品「波のフォ ルム」「空へ」「マスク」などの作品を加え15点程での展観です。会期は6月12日(日)までです。

( 2011.6.3 )

 

 

Noismの新作『OTHERLAND』

 

  29日(日)の夜、ダンスカンパニーNoismの新作『OTHERLAND』を観に行った。
  今回の新作は、『折目の上』Orime no ue、『Stem』、『Psychic 3.11』の3部構成。1部の『折目 の上』は、オリジナル曲をバックに身体表現中心の構成。ライティングで様々に変化する(ステージ 上の)色面が抽象絵画のようで美しかった。2部の『Stem』は一転ストーリー性のある展開。ほとんど 大仕掛けの道具がない中、舞台背景に斜めに掲げられた3枚の反射板(鏡)が効果的。ライティングの 効果とともに、舞台上の動きを一部映しながら広がりのある演出がなされた。その中での音(鐘の音、 肉声の叫び声)が心に染み込んでくる。3部の『Psychic 3.11』はこの度の大震災へのオマージュとし て組まれた短い演目。ライティングによる人影の作り方、オブジェの配置、ダンサーの配置とその動 きが的確になされ、短いながらメッセージ性の強い演出となった。
  今回は、音楽を背景にした身体表現中心のプログラムと演劇性の傾向の強いプログラムとをあわせ ての構成だったが、このダンスカンパニーの今後の方向性がそろそろ問われる時期に来ているような 気がする。

( 2011.5.29 )

 

 

井上厚木版画展-LIFE WITH A DOG シリーズを中心に

 

  3年ぶりの個展は、この3月に開催された第7回飛騨高山現代木版画ビエンナーレで準大賞を受賞した 『LIFE WITH A DOG (A)』をメインに、このシリーズの新作を中心に13点で展観致します。
  井上 厚作品の魅力は、何と言ってもその独特なぼかしにあります。最近の絵作りは、愛犬の後ろ姿を 画面のどこかに小さく入れながら、色面を巧みに構成し、それぞれの心象風景を広大に描いています。 画面から立ち上る温かな色彩は、井上さんが暮らす自然豊かな青梅の四季が織り成す「色」から生まれ るのだろうと想像しながら、送られてきた作品を観ています。
  個人的には、『LIFE』や『LIFE WITH A DOG (1)』のような抽象よりの作品が好きです。穏やかに流れ る日々の生活、その光と影。観ていてゆったりとした気分にしてくれる作品です。
  爽やかな気分も軽くなる季節です。街に出て画廊により絵を観よう!
  会期は5月29日(日)までです。多くの方々にご覧いただければ幸いです。

( 2011.5.20 )

 

 

仙台フィル×竹澤恭子(Vl)×三ツ橋敬子(Cond)

 

  5月7日(土)夜、ラ・フォル・ジュルネ新潟の本公演、今話題の女性指揮者三ツ橋敬子が振る仙台フィル を聴いた。ヴァイオリンの竹澤恭子を迎えてのベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲ニ長調 op.61」。この 組み合わせが実現したのは、先の大震災で予定のオーケストラと指揮者のキャンセルが生じたため。三ツ橋 敬子の指揮ぶりをひと目見たくてこの演奏会に足を運んだのだが、三者が一体になった渾身の演奏だった。 被災地仙台から急遽参加することになった仙台フィルに対しては、非常に温かな拍手が送られた。演奏が 終了し、何度かアンコールの拍手、団員が舞台のそでに引っ込んだ後も拍手は鳴り止まなかった。
  後日、新聞(5月11日付新潟日報朝刊)に仙台フィルコンサートマスターの神谷未穂さんが次のような 談話を寄せた。
  「大変の目にあった者だから創り出せる音がある。仙台フィルが今、奏でるべートーヴェンがあるはず」
  「新潟のお客様に、とても温かく聴いていただけ、大いに励まされた。舞台裏で涙した団員も多くいた」と。
  今秋、仙台フィルの新潟公演があるとのこと。また聴けるのを楽しみにしている。

( 2011.5.8 )

 

 

中村一征新作展:「灯火器」シリーズを中心に

 

 中村一征新作展を5月15日(日)まで開催中です。
 当画廊での個展は今回6回目で、足掛け10年の付き合いとなります。「私もこんな絵を描いているんです・・・」と 資料を見せてくれたのがついこの間のような気がしますが、月日が経つのは早いものです。
 今回の新作には、「灯火器」という具体物が前面に出てきました。背景となる画面も今までとは異なった作り方 で、灯火器が浮き出て見えます。色のついた衝立の前に置かれた灯火器を見ているような感じです。古い灯火器の 形を忠実に写したもの、形をイメージとして象徴的に描いたもの。この新シリーズには二つのパターンがあります。
 ただ、10年前から一貫して変わらない嗜好が中村さんにはあります。それは古きよきものへの憧憬-文様、絵巻 物、器など。それを自分の絵の中に取り入れ、自分自身のものとして昇華しようと試みてきました。今回の「灯火器」 もこの流れの中に入るわけです。
 作品を目の前にした方々がどんな感想を持つのか。会場でいろいろな話を伺えるのを楽しみにしています。是非 多くの方々にご覧いただければ幸いです。 

( 2011.5.6 )

 

 

ラ・フォル・ジュルネ新潟2011プレ公演

 

 昨年に引き続き『ラ・フォル・ジュルネ』の季節がやってきた。今年のテーマは「ウィーンのベートーヴェン」。 今回は、5月1日から5日までの連休中、本公演前にプレ公演が開催されることになった。本公演の行われる5月6日 から8日は画廊の仕事があり昼間は聴けないので、今回はプレ公演を中心に5つのコンサートチケットを購入した。
 最初は、5月2日(月)夜、りゅーとぴあ劇場でトリオ・ヴァンダラーの演奏によるベートーヴェンのピアノ三重奏 曲「幽霊」「大公」を聴いた。言うまでもなく、「大公」は傑作だということを再認識した。その構成力は交響曲 に匹敵するかもしくはそれ以上だと思う。トリオ・ヴァンダラーの演奏もメリハリのあるすばらしい演奏だった。
 次は、5月4日(水・祝)昼間、昨春開館した北区文化会館で鈴木純子(S)と田中梢(Pf)、枝並千花(Vl)と長尾洋史(Pf) のプレ公演。この会館、音響がいいとうわさには聞いていたが、1,000席弱の中規模ながらすばらしいホールだった。 ソプラノの鈴木純子は前半にシューベルトのポピューラーな歌曲を並べ、後半にベートーヴェンの歌曲というプロ グラム。シューベルト「魔王 D328」は絵本の読み聞かせの要領で日本語でのストーリーの説明後の演奏。その展開 がよく分かり、非常に興味深く聴けた。
 ヴァイオリンの枝並千花は新潟から羽ばたいた若手演奏家。前半はエルガー「愛のあいさつ」、フォーレ「夢の あと」など小佳品を並べ、メインはベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調 op.24『春』」。『春』は メロディアスかつ緊張感のあるいい演奏だった。フォーレの「夢のあと」は大好きな曲だが、今日聴いたアレンジ 版よりはオリジナル版の方が私は好きだ。

 本公演では、5月7日(土)夜、今話題の若手女性指揮者三ツ橋敬子が振る仙台フィルと海老彰子のピアノ独奏を 聴く予定だ。 

( 2011.5.4 )

 

 

いよいよKaede Gallery+full moonをスタートします!

 

  大地震の映像や現在の被災者の方々の状況を見るにつけ、どうしても春のうきうきした気分にはなれません。それでも前に進んでいかなければなりません。
  4月15日(金)から開催の信田俊郎展を皮切りにKaede Gallery+full moonをスタートします。
 『築100年の町家に新たな時を刻む・・・』をテーマに様々な作家とその作品を紹介していきます。しばらくは画廊Full Moonから引き継いだ雰囲気をそのまま残しつつも、徐々に当画廊の雰囲気を醸し出していきたいと思っています。
  最初の展覧会となる信田俊郎展は、当画廊の企画では2年ぶりとなります。信田さんは、垂直線と水平線の格子による絵画空間を本当に真摯に追い求めています。今回発表する作品は、ブルーの寒色を背景に一部分暖色をまじえ、にじみのような効果で格子を描くことで線があいまいになってきているのが特徴です。その先に何が存在するのだろうかと吸い込まれるように私は絵の中に入り込んで行きます。信田さんの絵画を10年間見続けてきて、個人的には今回が一番好みの絵画空間となりました。50号を中心に7点の油彩画と、7~8点のパステル画での展観です。
 是非ご覧下さい。

 追記:月刊ギャラリー4月号50ページに新オープンギャラリーとして紹介されています。

(2011.4.15)

 

 

佐藤哲三と同人文芸誌『土魂』考(新発田市生涯学習センターでの講演)

 

  4月9日(土)、新発田市郷土研究会主催の講演『佐藤哲三と同人文芸誌「土塊」考』を聴きに行ってきた。講師は、県立近代美術館を退職後、新発田市生涯学習課学芸員を務める小見秀男氏。講演内容は、画家佐藤哲三の長兄佐藤重義が中心になって1927年(昭和2年)12月から約1年程発行した同人誌『土塊』を背景に画家として歩み始める佐藤哲三とその後の画風の変化のあたりまでをまとめたもの。哲三の年譜で言えば、1927年から10年程の期間に絞って、スライドを用いての約1時間の講演だった。
  佐藤哲三の作品を初めて観たときにどんなに心が揺さぶられたか、あの時の気持ちは今でも忘れられない。30歳を過ぎ新潟に戻ってくるまでその存在すら知らなかった。新潟県美術博物館(県立近代美術館の前身)で観た蒲原の風景や農夫の姿、その絵の前から離れられなくなった。その後数年、哲三の絵が観られる場所があれば必ず足を運んだ記憶がある。その当時は自分の子どもの頃の原風景を重ね合わせ、「土着的」な絵画という単純なくくりで捉えていたと思う。あれから10数年、同じ作品を繰り返し何度か観てきたが、その都度気持ちが揺さぶられることには変わりない。私にとって佐藤哲三の作品は、ただ単に「土着的」なものから「魂の絵画」に変わってきたようだ。今日聴いた講演でそれを確かめることが出来た気がする。佐藤哲三の「生活に根ざした」絵画観を。         

(2011.4.9)

 

 

心よりお見舞い申し上げます

 

 この度の大震災により被害をうけられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。

  3月25日(金)からの特集展示 田中陽子『ダンス*ダンス*ダンス』は予定通り開催致します。
計画停電等によりご迷惑をお掛けすることも考えられますが、ご了承下さい。
尚、売上の一部を今回の大震災の義援金として送ることにしました。微力ながら役に立てれば
という思いです。

(2011.3.21)

 

 

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Kaede Gallery+full moon開設についてのお知らせ

 
 

初春の候、皆様におかれましては健やかにお過ごしのことと思います。
本年4月1日より画廊Full Moonを当画廊が引き継ぎ、Kaede Gallery+full moonと名称変更
し運営することになりました。今後は下記の通り2つのスペースの運営となる旨お知らせ致し
ます。
今後とも当画廊をご愛顧賜りますようお願い申し上げます。

 □ 楓画廊 〒950-3321 新潟市北区葛塚3210-9 TEL 090-2970-9687
  ・画廊企画の「グループ展」「テーマ展」中心の展覧会を開催します。

 □ Kaede Gallery+full moon 〒951-8065 新潟市中央区東堀通4-453
                 TEL&FAX 025-229-6792(画廊Full Moonと共用)
・当画廊の「企画個展」を月1回のペースで開催します。
・画廊Full Moonの企画個展を年数回開催します。
・その他、展覧会やイベント用にスペースの貸し出しを行います。
*『Noism サポーターズ Unofficial』事務局も引き続き併設します。

展覧会の詳細は当画廊のホームページの予定欄をご覧下さい。 URL http://www.kaede-g.com/

2011年3月吉日
有限会社楓画廊 三ツ井 伸一

 4月に入りましたら、あらためて上記文書にて郵送ご案内致します。
同スペースでの最初の企画展は4月15日(金)から4月24日(日)まで信田俊郎展を開催します。

(2011.3.18)

 

 

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所蔵品により構成した2つの展覧会

 
  小雪の降る中、休みを利用して2つの美術館の展覧会を観に行ってきた。
  県立万代島美術館の『画家のまなざし-スケッチ、構想、そして作品』、新潟市美術館の『子どものためのてんらんかい』はいずれも所蔵品により構成されたこじんまりした展覧会。
  『画家のまなざし-スケッチ、構想、そして作品』展は、「スケッチから作品まで」「日々のスケッチ」という2部構成で、新潟出身の日本画家の本画と下絵の並列展示を中心に、油彩画家などのデッサンを紹介したもの。最も印象に残った作品は、彫刻家柳原義達の「鳩」のデッサン。
 彫刻家らしい立体的なデッサンが印象的だった。柳原は今年生誕100年を迎え、関東地区の私立美術館でも展覧会が開催されている。また、田畑あきら子のデッサンも数点観れたことは幸運だった。
  『子どものためのてんらんかい』はタイトル通り所蔵品を子ども向けにキャプション等工夫した展覧会。最初は感心して観ていたが、子どもなら途中で関心を失うのではないか、主催者側から小さな鑑賞者への一方通行のような感じを受けてしまった。本当に小さな子どもから小学生位までを対象にした展覧会なら、作品に触れることが出来たり、参加出来たりするような子どもの好奇心をくすぐるような工夫や仕掛けが欲しかった気がする。この後で観た常設展の方が、作品入れ替えもあり充実していた。
  『画家のまなざし-スケッチ、構想、そして作品』(県立万代島美術館)は4月10日(日)まで、  『子どものためのてんらんかい』(新潟市美術館)は3月21日(月・祝)までです。興味のある方は足を運んでみてください。
(2011.3.9)

 

 

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モノクロームの誘惑V

 
  『モノクロームの誘惑』第3回展は、長島 充の野鳥シリーズ10点に、線描をテーマにした版画   セレクション(小林裕児、白木ゆり 他)7点で構成しました。
  長島さんは自身も日本野鳥の会会員で、35年来の野鳥観察者です。2002年に当画廊で個展を開催 した際にも、ファイルでこのシリーズを拝見しました。既に10数点の作品がそこにあったかと記憶 しています。あれから10年近く経ち、銅版画(手彩色)、木口木版画による野鳥たちも着々と増え、 長島さんの版画家としてのライフワークの一部になったようです。今回はテーマがモノクロームの ため、木口木版画のよる作品のみの展観です。
  画廊から少し足をのばすと、220種類以上の野鳥がいるという野鳥の宝庫福島潟があります。私も月1回程のペースで散歩に出かけます。潟から吹く風に季節を感じながら、水鳥を見ながら潟の周囲 を散策すると何かゆったりとした気分になります。水紋を描きながらゆっくりと水面を泳ぐ鳥たち。 羽をはばたかせすべるように水面に降り立ったり、空に向けて飛び立つ鳥たち。今回選んだ長島さんの作品の中にも、この散策中によく見かける鳥たちもいます。私は熱心な観察者ではありませんので、 見逃している鳥も多いかもしれません。
  長島さんの描く鳥たちを見ていると、犬好きの人が犬を見ると自然と笑顔になってしまうような   作者の温かな視線を感じずにはいられません。3月15日(火)までの会期です。是非ご覧下さい。
(2011.3.4)

 

 

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コレクションへの誘い2011:Spring Sale

 
  2009年春から始めた『コレクションへの誘い』、春と秋年2回のセールもおかげさまでお客様の間に定着して  きたようです。今回は一足早い春のセールで、『木版画をお手元に!』をテーマに木版画と木口木版画20点を展示販売致します。
  今回展示する作品の中から数点ご紹介します。まずは木版画から。若手作家松永かのの「山風」は、彫りと 墨の単色でみせる若い感性の世界。彼女の作品は、村上春樹の著作「東京奇譚」の挿絵にも使われたことがあります。中堅作家高橋 洋の「風の庭 2」は、作家が花をモチーフに半具象の世界を展開していた頃の作品。
  面の使い方が印象的な作品です。木口木版画からも2点。若手作家奥野淑子の「requiem」は草木の間から月を   望む繊細なタッチの作品。中堅作家涌田利之の「クレオパトラ」は小品ながら初期の秀作。
  是非ご覧いただき、この機会に皆様のコレクションに加えていただければ幸いです。
  また、今回の更新より『新着情報』コーナーを設けました。併せてご利用下さい。
(2011.2.7)

 

 

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シャーリー・ブリル クラリネットリサイタル

 
  1月23日、日曜日午後のコンサート。休日昼間のコンサートは何となくゆったりとし贅沢な気分になる。
クラリネットのコンサートはかなり昔に、今回のシャーリー・ブリルの師であるリチャード・ストルツマン の演奏を聴いて以来となる。コンサート会場は第四ホール。座席数500程の室内楽向きの小ホール。楽しみ にして会場へ向かった。
内容は、ブリルのクラリネットに同郷(イスラエル)のピアニスト ジョナサン・アーナーとのデュオで、プーランクやドビッシーの近代楽曲からシューマンやブラームスまで、バラエティーに富んだプログラム。 シューマンやブラームスの楽曲の際には、より柔らかな音色の出るクラリネットに持ち替えての演奏。
ブリルの若さあふれるダイナミックな演奏、知的で叙情あふれる演奏、様々の曲想を豊かなテクニックで 味わわせてくれた印象に残るコンサートだった。サービス精神も旺盛で、アンコールは5回にもおよび小作品を5曲演奏してくれた。二人にとって初の日本でのコンサートツアーとのこと。盛況のうちにツアーが 無事終了することを祈っている。
(2011.1.23)

 

 

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新年のご挨拶&開廊10周年のご挨拶

 
 あけましておめでとうございます。 今年もよろしくお願い致します。 今年最初の展覧会は、1月15日(土)から1月30日(日)までの会期で『花の彩り-花・華・はな '11』を 開催致します。小山まさえさんの新作10点に日本画セレクション8点を加えての展観です。是非ご覧下さい。

 おかげさまで当画廊は昨年11月開廊10周年を迎えました。あらためて開廊10周年のご挨拶文を掲載し、 新たなスタートの年としたいと思います。

開廊10周年のご挨拶
 初冬の候、皆様におかれましては健やかにお過ごしのことと思います。
  おかげさまで当画廊は本年11月3日開廊満10周年を迎え、11年目に入ることが出来ました。この紙面を 借りて日頃からの皆様のご支援に心から感謝申し上げます。
  10年前、当画廊は版表現を中心に若手、中堅作家を紹介することを旨に開廊致しました。運営を重ねる 中で自然と私自身の興味と視点も多岐に渡り、彫刻等の紹介へも拡大していったことはご存知の通りです。
  今回、陶磁器を紹介する『たおやかな器』という新シリーズの準備にあたり、自分の足と目で紹介する 作家を探しました。新たな作家を探し紹介する新鮮な喜び、しばらく鈍っていた面だと反省した次第です。 思えば、10年前紹介した新人作家たちも30代後半から40代前半と年齢とキャリアを重ね中堅作家として活 動しています。10周年を機に、これまでおつきあいいただいている作家の継続紹介を軸にしながらも、新 世代の作家の発掘、紹介にシフトしていくつもりです。
  私の目標は30年この仕事を継続することです。余力があったらその後2,3年はコマーシャル的なものでは なく、美術で社会へ恩返しをし幕を閉じたいと考えています。
  まずは次の10年、新たな気持ちでスタートしたいと思います。現在の社会情勢は“美術に使うお金はな い"といわんばかりの状況ですが、そんな中にもわずかばかりでも光は見えます。その光を頼りに着実に 進んでいきたいと思います。
  今後とも当画廊をご愛顧賜りますようお願い申し上げます。
                                                  2010年12月吉日
                                                  有限会社楓画廊 三ツ井 伸一
(2011.1.1)

 

 

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・2010のdialogue

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